アルメニア国防省が米国との軍事演習を発表しました。この発表により、ロシアは警戒感を示しています。アルメニアのパシニャン首相は、安全保障政策を1つの国に依存することは戦略的に誤りであり、多様化を図っていると述べています。
アルメニア国内での合同演習実施は誰の目にも「ロシアの影響力が陰りを見せている」と映るだろう
アルメニアの安全保障はこれまでロシアに99.9%依存してきましたが、ロシア自身が武器や弾薬を必要とする場合、アルメニアのニーズに応えることができないことは明らかです。このような体質は安全保障政策において1つの国に依存することが戦略的な誤りであることを示しています。アルメニア国防省も「米国との合同軍事演習を行う」と発表したため、ロシアは警戒しているのです。
出典:U.S. Army National Guard photo by Sgt. Zach Sheely/Released
アルメニア国防省は「国際平和維持ミッションへの参加準備の一環として米国と合同軍事演習『EAGLE PARTNER 2023』を実施する」と発表しました。米国防総省も「この演習に参加する米軍兵士(85人)は小銃を携行するものの重火器は持ち込まない(2015年にも同様の演習を実施)」と説明し、「規模の小さい演習=軍事的強度の低い演習という意味」だと強調しました。しかし、ロシアのペスコフ大統領報道官は「このような話は懸念を引き起こすため、我々は注意深く分析して状況を監視する」と述べています。
アルメニアはロシアが主導する集団安全保障条約機構(CSTO)の加盟国であり、ロシア軍の部隊が駐留しています。しかし、昨年の武力衝突でアゼルバイジャン軍がアルメニア領に侵入し、停戦が合意されましたが、アゼルバイジャン軍はアルメニア領に居座り続けています。そのため、パシニャン首相はCSTOの第4条に基づき、加盟国に軍事行動を含むあらゆる支援を要求しています。
出典:CSTO
しかし、CSTOで主導的な立場のロシアはウクライナとの戦争に忙殺されており、他の加盟国も両国の紛争に関わることを敬遠しています。このため、アルメニア国内ではCSTOに対する失望感が強まり、これがペロシ米下院議長のアルメニア訪問につながったと言われています。
パシニャン首相は「パートナーのロシアは『西側が南コーカサスからロシアの影響力を排除しようとしている』と言うが、ロシアの話を聞けば逆に『ロシア自身が南コーカサスから撤退しつつある』と感じる」と述べています。そのため、米国との合同軍事演習は「安全保障政策の多様化」に基づく選択となりますが、アルメニアはCSTO演習の国内実施を1月に拒否しています。そのため、このタイミングでの演習実施は誰の目にも「ロシアの影響力が陰りを見せている」と映るでしょう。
出典:CSTO アルメニアに派遣した調査団
アルメニアは初めてウクライナに人道支援を行うなど、政治的にも軍事的にも安全保障政策は脱ロシアの方向で進んでいます。この動きは注目されています。
(作成者:日本ニュース24時間)