差別や苦難に立ち向かった男性の物語
犯罪事件は日常においていたるところで発生します。加害者が罪に償うのは当然のことですが、同時に加害者の家族も差別や嫌がらせといった被害にさらされる現実が存在します。
この記事では「加害者の息子」として生まれ、さらに母親を失った被害者として、23年以上にわたって経験してきた男性の苦悩と現実に迫ります。
父親による母親の殺害と「人殺しの息子」という社会的な排除
愛知県在住の大山寛人さん（35歳）は、両腕に入れ墨をしています。右腕には女性の首と母親の名前の一字である「美」という文字が刻まれており、左腕には「野ざらし」という罪人が首を刎ねられて朽ち果てる絵と、父親の名前の一字である「清」という文字が刻まれています。
この物語は、23年前の2000年3月に起きた出来事に遡ります。寛人さんが小学生6年生の頃、父親である大山清隆死刑囚が、保険金目当てに妻の博美さんを自宅の風呂場で殺害したのです。
事件当日の夜、大山清隆死刑囚は寛人さんに対し「家族で夜釣りに行って、海で溺れて亡くなった」と偽り、博美さんの遺体を車に乗せて港へと連れて行きました。助手席には遺体が乗っており、寛人さんには「母親は寝ている」と説明されたといいます。そして海辺で母親の遺体が発見され、事故死とされましたが、2年後の中学2年生の時、寛人さんは父親が逮捕されるまで母親が殺害されていたことを初めて知ったのです。
（大山寛人さん）
「頭が真っ白になって何も考えられなくなり、ただ泣き叫ぶことしかできなかったんだ」
幸せだった家族は一瞬にしてなくなり、寛人さんの人生は大きく狂い始めました。
（大山寛人さん）
「友達の親からは『大山君の家族には関わってはいけない』と言われ、友達が次々と離れていったんだ」
まわりから「人殺しの息子」と汚名を着せられ、排除される恐怖に襲われました。寛人さんはいじめを恐れるあまり、窃盗や暴走行為などの非行に走るようになってしまいました。
記事のソースリンク: 日本ニュース24時間
