秘密組織“別班”の真実…ドラマとは違う“本当の姿”とは【報道1930】

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ドラマのヒットでにわかに注目される自衛隊の秘密組織“別班”。ネット上でもその存在の有無が取り沙汰されているが、菅義偉元総理は官房長官時代会見で「これまで自衛隊に存在していないし現在も存在していない」と否定した。

石破茂氏の発言

しかし、防衛庁長官と防衛大臣どちらも務めた石破茂氏は週刊誌の質問には「存在している。してなきゃおかしいだろ」と答えていたが、テレビ番組では「あるともないとも言えませんがね」と明言を避けた。

ジャーナリスト黒井文太郎氏の証言

実際に“別班”の元隊長や元隊員を取材したというジャーナリスト黒井文太郎氏は「冷戦時代、陸上自衛隊・情報二部・特別勤務班という部隊があり、通称“別班”と呼ばれていた」と語った。元隊長の一人、平城弘通氏は正しい情報を残しておきたいとの思いから『日米秘密情報機関』を上梓した。そこには「(別班の)工作資金は貧弱で内閣調査室などに比べ一人当たり10分の1以下だった」とあった。どうやら、少なくとも過去に存在していたことは確かなようだ。

“別班”の現在について

では現在はどうなのか…。ドラマのような違法行為を含めた工作活動は行われているのか…。日本の情報機関に精通した専門家たちと日本のインテリジェンスを議論した。

共同通信の石井暁氏の証言

いわゆる“別班”について2013年に共同通信が報じている…。
数十人で構成される陸上自衛隊の情報部隊で、ロシア、中国、北朝鮮に関する軍事・政治・治安情報の収集活動をする。海外ではロシア、中国、ポーランドなどに拠点を置き、派遣される隊員は他の省庁の部員や商社マンを装うこともある。

石井暁氏は「総理も防衛大臣も知らない組織と聞いて取材をはじめ約5年半で記事にした。取材の途中、陸自の将官から「ホームで電車を待つ時、最前列に立つな」と言われた。石井氏に改めて“別班”の存在について聞いた。

石井氏は“別班”は実在するという。そして冷戦時代に存在した情報二部・特別勤務班よりも予算も組織も拡充したものになっているという。ただドラマとはだいぶ違うようだ。

「あくまでも情報収集活動で、破壊活動を含めた工作活動はしていません。私は聞いていません」

工作活動はしないが、違法行為を絶対しないということはないという。しかし、部隊の存在を本当に総理大臣も防衛大臣も知らないのだろうか。

「(総理にも防衛大臣にも報告する習慣はない)石破さんは大臣2回やっているわけです。そのくらいやると何となく耳に入ると思います。だから週刊誌に口が滑っちゃった。防衛省内でも背広組、例えば防衛政策局の調査課長やったとか、情報端にいた人とか、幕僚長になった人とか、そのラインの人とかは(別班の存在を)知っていると思います」

黒井文太郎氏によれば“別班”の始まりは、米軍の調査部隊に自衛隊が協力したというものだった。つまり米軍と自衛隊の合同部隊だったので存在自体が非公然だった。なので、日本政府としても存在を認めるわけにはいかなかった。

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