岸田首相、「おはよう日本」の視聴者からの逃避について

岸田文雄首相

岸田文雄首相は、内閣改造を行っても支持率が上がらずに悩んでいます。彼は物価上昇に対応するための新たな経済対策を打ち出すことで支持率を改善しようとしていますが、彼の言葉は国民から無視されているという現実が、視聴率データから明らかになりました。NHKの「おはよう日本」の視聴率を分析した元NHK解説委員でメディアアナリストの鈴木祐司氏が解説しました。

NHK「おはよう日本」の異例な放送

21日のNHK「おはよう日本」は、通常とは異なる放送内容でした。岸田首相が国連に出席し、ニューヨークで記者会見を行ったため、午前7時台の45分のうち35分が中継に使われました。

視聴者の反応は明らかでした。会見中に視聴者の30%が番組を離れました。前の4週間の平均視聴率と比べると、大幅に低下しました。首相の説得力に欠ける長い話し方は、多くの視聴者から批判を浴びました。特に65歳以上の男性視聴者の離脱率が最も高いことが分かりました。本来、自民党の支持層であるはずの人々ですら、首相を敬遠しているのです。

朝の7時台は通常、忙しい時間帯です。重要なニュースを短時間で伝えることで、聴きながら行動する人々にとって便利な番組になります。しかし、聴いていても何を言っているのか分からない長い会見を放送すると、視聴者はついていけません。これは当たり前の感覚です。視聴率の急落は避けられませんでした。

菅前首相時代から続くニュースジャック

実際、岸田首相の記者会見は、8日前にも「ニュース7」で中継されました。その際、番組開始から半分近くの視聴率が下がりました。菅義偉前首相時代から頻繁に行われているニュースジャックですが、残念ながらほとんどが失敗に終わっています。

本来、首相の会見は夕方6時台に行われ、その内容が7時のニュースで簡潔に伝えられることが官邸とNHKとの合意でした。しかし、菅時代からは強引に放送されるようになりました。しかし、菅の会見も上手く行かず、支持率が下がってしまいました。これについて十分な分析を行わなかったのか、岸田首相は形式だけを真似て、ついには朝のニュースまで時間を占めるようになりました。

NHK自体も情けない状況です。首相によるジャックは、2020年にコロナ禍が始まり、安倍晋三元首相が緊急事態宣言を発令した際だけ、視聴率を急上昇させました。それは重要な会見であったためです。しかし、その後はすべて視聴率が低下しています。この事実を知りながら、ジャックを黙認するNHKは、国民のための公共放送ではなく、政府に迎合した放送になってしまっています。

最近のジャニーズ問題では、マスコミが事務所に屈して報道を制約したと非難されています。NHKの首相の会見放送も同様です。権力におもねるだけでは、経営計画で約束されている「公正中立」や「自律自主」が守られていないことになります。

ソースリンク:日本ニュース24時間