岸田首相「やけっぱち解散」か? 自公17減、維新1.5倍増で過去最高の躍進? 次期衆院選、政党別獲得議席を予測

岸田文雄首相

岸田文雄首相の再改造内閣が本格始動する中、衆議院解散と総選挙に関する憶測や駆け引きが永田町で加速しています。内閣改造と自民党役員人事の報道に続いて行われた世論調査では、内閣の支持率が下落した社もあり、岸田首相の「政権浮揚効果」は乏しいと言われています。岸田政権の増税・負担増路線は国民の反発を招き、LGBT法の速やかな法制化は「岩盤保守層」の離反を引き起こしたのでしょうか。夕刊フジの選挙プランナーである松田馨氏によると、衆議院解散した場合の議席予測では、政権与党である自民党と公明党、野党第一党である立憲民主党の議席は減少し、日本維新の会の議席は1.5倍に増えるという結果になりました。また、ベストセラー作家の百田尚樹氏が立ち上げた「日本保守党」も分析対象になりました。

衆議院にクラウチングする与野党の参議院議員一覧表

岸田首相は国連総会出席のためニューヨークで行った内外記者会見で、衆議院解散の考えを問われて以下のように述べました。「先送りできない問題について新体制の下で一貫して取り組んでいく。今はそれ以外のことについては考えていない」とのことです。

政府与党は今回の内閣改造と党役員人事を政権浮揚の起爆剤にしたかったのですが、産経新聞・FNN(フジニュースネットワーク)や毎日新聞の世論調査では、内閣の支持率が前回から下落し、日経新聞と読売新聞では前回と同じという厳しい結果となりました。

岸田政権による防衛費増加や経済対策、少子化対策などの財源としての「増税・負担増路線」に対しては、国民からの反発が強く出ています。中国や韓国への外交姿勢やLGBT法の強引な採決・施行は、安倍晋三氏や菅義偉氏の政権を支えた「岩盤保守層」からの支持を遠ざけることになりました。

ただし、永田町では「11月解散説」が浮上しています。

岸田首相としては、来年秋の自民党総裁選まで、低い支持率の内閣で乗り切ることはリスクがあります。解散を遅らせれば、今春の統一地方選で一歩踏み込んだ日本維新の会の選挙準備が進んでしまうからです。

松田氏は、今回の議席予測について以下のように述べています。岸田首相率いる自民党は現有の261議席から9議席減の252議席と予測されています。自民党は衆議院常任委員会の委員長ポストを独占し、委員数でも野党を上回る「絶対安定多数(261)」を失うものの、衆議院の全委員会で委員長を出せる「安定多数(244)」を確保することになるでしょう。

松田氏は、「岸田政権への批判はあるものの、支持政党のない無党派層が40%以上に達しています。支持政党がある層に比べて選挙に行かない傾向が強いです。さらに、野党の連携が進まず、候補者が乱立している状況では自公与党の地力と組織力が有利に働きます。ただし、選挙は複雑な要素が絡むものです。無党派層の動向は予測しきれない面もあります」と語っています。

与党連立を組む公明党の山口那津男代表は現在32議席ですが、予測される獲得議席は24議席と厳しい戦いになりそうです。自民党との小選挙区での候補者調整において不協和音が表面化し、一時は東京での協力関係解消を表明するなど、混乱状態にあります。

松田氏は、「今春の統一地方選では伸び悩み、得票数も減少傾向にあります。支持層が高齢化しており、厳しい戦いになるでしょう。関西の選挙区でも日本維新の会との競り合いが激しいです。亀裂が表面化している自民党と関係改善し、組織活動を「気迫十分」で行い、どれだけ立て直せるかが重要です」と指摘しています。

一方、野党の状況はどうでしょうか。

立憲民主党の泉健太代表は8議席減少の88議席と見込まれています。今年3月、衆議院憲法審査会を念頭にした小西洋之参議院議員の「サル・蛮族発言」が大きな波紋を呼びました。統一地方選でも党勢が拡大せず、泉氏と蓮舫参議院議員がツイッター上などで非難し合うなど、党内が混乱していると言われています。

松田氏は、「政党支持率も低水準で推移していますが、旧民主党時代からの個々のメンバーには強さがあります。最近は話題が少なく、目立った不祥事や失言がないということです。逆に「存在感」が薄いことが好意的に受け止められていることもあります」と語っています。

馬場伸幸代表の日本維新の会は、党史上最多の68議席を獲得すると予測されています。今春の統一地方選では、地方議員と首長の目標である「600人」を大きく上回る774人を達成し、勢いを増しています。

松田氏は、「勢いは確かですが、政党支持率の調査では2桁にはなりません。2009年に民主党が政権交代を果たした際は、政党支持率が自民党を上回る勢いがありました。小選挙区では候補者が乱立し、票が分散すれば自民党が有利になる傾向があります。比例区では「野党第一党」の座は堅そうですが、関西以外の地域での議席獲得はまだ難しいようです。勢力が拡大すればスキャンダルなどのリスクも増えます」と述べています。

今後の駆け引きが続きますが、岸田政権はどのような判断を下すのでしょうか。

松田氏によれば、年内に解散する可能性は低いとのことです。岸田政権は政策の実現に重点を置くでしょう。国際情勢が緊迫していることもあり、選挙による政治空白を避けるためにも慎重に解散を判断すると考えられます。今後も駆け引きが続くでしょう。

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