新型コロナウイルスの感染後に症状が長引く後遺症を巡り、都内の女性(55)に「傷病補償年金」の支給が認定されました。この認定は初の事例となります。
厚生労働省の研究班によれば、感染した成人の11.7%から23.4%に後遺症があることが分かっています。
東京・福生市の老人ホームで事務として働いていた女性は2021年1月、施設でクラスターが発生し、自身も新型コロナに感染しました。症状は悪化し、救急搬送されるほどでした。CT(コンピューター断層撮影)検査では、両肺が真っ白に映るほどの重度の肺炎を起こしていたとのことです。
女性は1カ月ほどで退院しましたが、2年半が経った今でも後遺症に苦しんでいます。息苦しさなどから酸素吸入器が手放せない状態が続いています。
年金の対象となる条件は、病気が治っていない場合に支給されるというものです。女性はこれまで休業補償給付を申請していましたが、今年5月に療養を始めてから1年半が経過しても病気が治っていない場合に傷病補償年金の対象と認められました。この補償は生涯にわたって支給されます。
女性はこの支援について「ほっとしている」と話しています。一方、女性を支援してきたNPO法人東京労働安全衛生センターは、「新型コロナ後遺症で傷病補償年金が支給されるのは初めての例だろう」と語り、「後遺症に苦しみ長期療養を余儀なくされる人は少なくなく、制度の周知と国の継続的な支援が必要だ」と訴えています。
この事例は、新型コロナウイルス感染後の後遺症による支援制度への重要な前例となります。厚生労働省は、後遺症を持つ感染者の支援についてさらなる措置を検討しているとのことです。
この記事は「日本ニュース24時間」提供のものです。
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