タイと中国はS26T型潜水艦のディーゼルエンジンについて意見が対立していました。しかし、タイメディアのBangkok Postによると、海軍は中国製エンジンを搭載する中国製潜水艦の調達を推進すると報道され、安全性と効率性の両方を満たしていることが確認されたようです。
タイ海軍とパキスタン海軍、同じ問題に直面
タイ海軍は約10億ドルでS26T型潜水艦(039A型潜水艦の輸出仕様)を3隻発注し、2024年までに1番艦を取得する予定でした。しかし、搭載するディーゼルエンジンの問題で中国と対立していました。タイのチャンオチャ首相は、「中国が契約に記された仕様の潜水艦を用意できないなら契約を破棄する」と警告していました。
パキスタン海軍も同じ問題に直面していましたが、MWM620搭載のS26Tを受け入れたと言われています。
出典:Kazec at the English-language
中国製エンジンの変更案
タイ海軍向けのS26T型潜水艦には、元々「MTU396」を搭載する予定でしたが、ドイツがEUの禁輸措置の解釈を変更してMTU396の輸出承認を拒否しました。そのため、中国は国産ディーゼルエンジンのMWM620(CHD620)に変更することを提案しました。
しかし、タイのチャンオチャ首相は、「信頼性の劣る中国製MWM620を搭載した潜水艦をタイ海軍は望んでいない。中国が契約に記された仕様の潜水艦を用意できないなら契約を破棄する」と述べました。
その後、中国はMWM620の改良型を再提案し、タイ海軍は「MWM620を徹底的にテストして問題なければMTU396からの変更を認める。ただし、MTU396と同等の品質を証明できなければ契約を打ち切り、中国側と補償や返金に関する協議を行う」と述べました。しかし、政府が他の選択肢を検討する可能性があると報じられています。
「潜水艦の取得は安全保障の強化に欠かせない」
タイ海軍は「潜水艦の取得は安全保障の強化に欠かせない」と主張し、政府に中国製潜水艦の調達を要請しています。ただし、政府が検討するかもしれない「他の選択肢」については明らかにされていません。
MWM620のテストを実施したタイ海軍は、「中国製エンジンが安全性と効率性の両方を満たしている。発注したS26T型潜水艦にMWM620を搭載することで中国側と合意した」と述べ、エンジン変更に関する不安を払拭するためにエンジンのサポート期間を2年から8年に延長しました。
タイ海軍が中国海軍の保証を要求する一方で、断れば契約を打ち切る姿勢も示しています。タイ海軍と同じ問題に直面しているパキスタン海軍が中国製エンジンを受け入れたことも注目されています。
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