性別変更の手術要件「撤廃すべき」 最高裁弁論前に当事者が訴え

手術要件撤廃

性同一性障害に悩むトランスジェンダーの方々が、戸籍上の性別を変更するための手術要件の撤廃を求めて最高裁に訴えました。性別変更を巡る最高裁の判決が待たれる中、全国の当事者や支援者による「LGBT法連合会」が東京で記者会見を開きました。

性同一性障害特例法の手術要件

記者会見

性同一性障害特例法による手術要件とは、戸籍上の性別を変更するために、生殖能力の喪失などの手術を求められるものです。最高裁はこの手術要件が憲法に違反しているかどうか審理しており、申立人側の意見聴取のための弁論が27日に行われました。法連合会はその前に会見を開き、トランスジェンダーの当事者たちが心情を語りました。

18歳での絶望的な感情

トランス男性の手術

トランスジェンダーの木本奏太さん(31歳)は18歳の時、「体にメスを入れて子どもを残せないようにしなければならない」という条件を知りました。それは「真の男性でない」と言われているような気持ちを抱かせました。彼は「手術をするか、死ぬか」という選択に迫られ、バイトに明け暮れて手術費用200万円を貯め、25歳で乳房と子宮・卵巣を切除する手術を受けました。

特例法の要件を満たし、戸籍上の性別を女性から男性に変えました。既に男性としての生活を送っていたため、戸籍の不一致がなくなり、社会生活はスムーズになりました。しかし、彼が享受するべき当たり前の権利である、自己の性自認を尊重して生きるという代償は非常に大きかったのです。

木本さんは会見で「もし特例法の要件がなかったら、手術をしなかったと思います」と振り返りました。「自分の体についての決定権は自分自身にあり、国や他者による不妊化要件は不適切な干渉だと感じています」

父親なのに「養母」になる

トランス男性の家族

トランスジェンダーの杉山文野さん(42歳)は、乳房の切除はするが、子宮・卵巣は摘出しないという選択をしました。彼は「本当に手術を望んでいるのか」「手術しないと(スムーズに)社会生活を送れないと思い込まされているのではないか」と疑問に思った結果です。

現在、杉山さんは女性パートナーと一緒に暮らし、友人から提供された精子で2人の子供を授かっています。しかし、生殖能力を失わせる手術を受けていないため、戸籍上はまだ女性のままです。パートナーとの結婚はできず、戸籍上では同性同士の関係となってしまいます。

パートナーの希望もあり、現在は子供たちとの法的な関係を持つために養子縁組をしており、杉山さんは「実際の生活と書類上の表記が一致しないことで、多くの困難が生じています。法改正が早急に行われることを心から望んでいます」と会見で語りました。

「人権侵害の懸念、極めて強い」

法連合会は、「特例法の要件は人権侵害の懸念が非常に強いものであり、撤廃すべき」と主張しています。

性同一性障害特例法の手術要件が憲法に違反しているかどうかを判断する最高裁の結論は、年内にも発表される見通しです。(二階堂友紀)

※ Source: [日本ニュース24時間](https://jp24h.com)