「もう帰ってこられない」娘の闘病を支える妻が倒れ、病院で3人が死亡した事件

富士脳障害研究所付属病院

静岡県富士宮市にある富士脳障害研究所付属病院で、27日に病室内で3人が亡くなるという事件が起きました。静岡県警察は、入院中の妻と長女を刺殺した後、夫が自殺を試みたとみて、殺人容疑で捜査を行っています。

事件が起きた富士脳障害研究所付属病院の玄関には、捜査関係者らしき人々の姿がありました。現場に居合わせた人々は、事件の報せに驚きと悲しみを浮かべていました。

事件の被害者は、無職の長女・斉藤聖子さん(40歳)と無職の妻・ちづ子さん(72歳)です。二人とも富士市在住です。事件を知る人たちは、その報せに驚きと悲しみを抱えています。

聖子さんは高校卒業後に働いていましたが、成人してからは近所で見かけなくなったと言われています。後に病気にかかり、入院して闘病生活を送ることとなりました。

ちづ子さんは自宅周辺に好きな花を植え、手入れを欠かさず行っていました。また、明るい性格で、近所の清掃活動にも積極的に参加していました。時には、今回の事件現場となった病院の近くを車いすに乗った聖子さんと散歩するなど、夫婦で闘病生活を支え合っていました。

しかし、今年3月ごろ、ちづ子さんは自宅で倒れ、救急搬送され入院することになりました。

数日後、夫が知人の女性にちづ子さんの病状について説明しました。「『脳梗塞(のうこうそく)だ』と言っていたと思います。『もう(病院から)帰ってこられない。退院できない』と。肩を落としているような様子でした」とのことです。

女性が「何かあったら言ってください。買い物も手伝えますから」と声をかけると、夫はいつも笑顔で「ありがとう」と答えたそうです。

病院関係者によると、ちづ子さんが入院してから、夫はほぼ毎日、2人の面会に訪れていました。

しかし、近所に住む別の女性は、「奥さんが倒れてから、夫の姿をあまり見かけなくなり、声をかけづらくなったように感じました」と述べています。

事件当日の午前中、久しぶりに夫の姿を目撃しました。夫は家の前を行ったり来たりしていたそうです。それは珍しい光景であり、一瞬驚きましたが、声をかけることができませんでした。「今思えば、夫が追い詰められていたのかもしれません。声をかけなかったことや何かできなかったことに、とても悔しさを感じています」と、別の女性は語りました。

この記事は朝日新聞社の報道をもとに作成されています。

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