ロシアの前衛であるアルメニアが大胆に動き出しました。アルメニアの議会はロシアのプーチン大統領に逮捕状を発行する国際刑事裁判所(ICC)への加入を決めました。これは、アルメニアがロシアの伝統的な友好国としての地位から離れている意思表示とも言えるでしょう。アゼルバイジャンとの紛争でロシアが傍観的な態度を取ったことに不満を抱くアルメニアによる一連の動きです。
アルメニアのICC加盟決定とロシアの反発
アルメニアの議会は60票の賛成と22票の反対でICCローマ規定の批准案を可決しました。ローマ規定の批准により、アルメニアはICCの司法管轄権を受けることになります。この批准案はアルメニア大統領の署名後、国連事務総長に提出され、手続きが完了すると60日後に発効されます。
アルメニアのICC加盟決定に対して、ロシアはすぐに反発しました。アルメニアの加盟が発効されれば、プーチン大統領がアルメニアを訪れた際に逮捕される可能性が生じます。ICCは過去にウクライナ戦争の犯罪容疑でプーチン大統領に逮捕状を発行しており、ICC加盟国は協力する義務があります。
アルメニアとロシアの関係と紛争の影響
アルメニアはロシアの主要な同盟国の一つで、旧ソ連の6カ国で結成された集団安全保障条約機構(CSTO)に加盟しています。ただし、先月のアゼルバイジャンによるナゴルノ・カラバフへの大規模空襲に対し、ロシアが軍事介入をためらったことで、アルメニアとロシアの関係には亀裂が生じています。
ナゴルノ・カラバフは国際的にはアゼルバイジャンの領土ですが、住民の大多数がアルメニア系であり、30年以上にわたって紛争が続いています。アルメニア系の勢力は1991年にアルツァフ共和国を樹立し、独立を求めて軍事行動を行っています。
現在もアゼルバイジャンによる占領が続いており、約10万人のアルメニア系住民が避難を余儀なくされています。アルメニアは自国を保護しないロシアに失望を抱いており、ロシアの平和維持軍が駐留しているにも関わらず、何の対応も行われなかったことを非難しています。
アルメニアの反ロシア感情と周辺国への影響
アルメニア国内では反ロシア感情が高まっています。アルツァフ共和国の降伏後、アルメニアの首都エレバンのロシア大使館前で、「ロシアに裏切られた」というデモが広がりました。これは「ロシアの前庭」と称されてきた友好国が一転し、周辺国におけるロシアの影響力が低下していることを示しています。
ニューヨーク・タイムズは報道で、「ロシアは長い間紛争の中心にあったが、ウクライナ戦争の後、周辺国に対する主導権を失っている」と指摘しました。
アルメニアの動きは国際社会に大きな影響を与える可能性があります。この事態の進展に注目が集まっています。ロシアとアルメニアの今後の関係や、周辺国の動向にも大いに期待が寄せられます。
Source link: 日本ニュース24時間