消防団員の報酬未払い問題が浮上 「嫌なら辞めて」との音声データ入手

消防団員の報酬未払い

福島県南相馬市の消防団で、団員の一人が1年半にわたって報酬を受け取れず、さらに先輩団員から「嫌なら辞めて」と促されていたことが明らかになりました。この事実は関係者への取材で判明し、市は消防団に対して改善を指導しました。毎日新聞は男性と先輩団員の会話を録音した音声データを入手しました。

各地で報酬管理の不正が発覚

消防団の報酬を巡っては、全国の消防団で不適切な管理や流用が相次いで発覚しています。このため、総務省消防庁は2021年4月、報酬を個人に直接支給するよう全国の自治体に通知を行いました。

南相馬市の条例では、団員に報酬を支給することが定められています。一般団員の年間報酬は、2021年度までは2万7000円でしたが、2022年度からは3万6500円に引き上げられました。2022年度分からは市から直接支給されるようになりましたが、2021年度分までは市が各分団にまとめて振り込んでいました。

報酬未払いと威圧的な態度

男性は2021年4月に消防団に入団しましたが、同年度の報酬が支払われないことに疑問を抱き、2022年3月に市に問い合わせをしました。その結果、消防団の副分団長から「消防団はそういうものだから」と威圧されたといいます。

さらに、複数の先輩団員から呼び出された際の音声データには、次のような会話が残されていました。

  • 「報酬は消防団から預かっている。必要な時にジュースや食事に使ったり、予備費として残しているんだ」
  • 「もし余計なことをしようとしたら辞めてもらうしかないね」
  • 「昔からお金を残していて、コロナ前は2年に1回ぐらい旅行に行っていたんだ。その時に旅先で何か買ったり、飲み物やビールを楽しんだりしていた。最初の宴会で料金を支払っていたよ」
  • 「これ以上の対応方法がないなら、残念だけど辞めてもらいたいね」

男性はこのような消防団の体制に嫌気がさし、2022年6月に退団しました。その後、男性は市長に対して嘆願書を提出し、結果的に2021年度分の報酬が2023年9月に支払われることとなりました。

南相馬市は毎日新聞の取材に対し、「報酬の管理運用について説明が不十分だったため、消防団に対して指導を行いました」と説明しています。

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