生きていけない現実が目の前に – 食べるだけの年金生活

Image

日本社会では、女性が働けないこと、働かせられないことが長く続いています。これにより、低賃金で働いたり、働けなかったりした女性が高齢になり、低い年金に苦しんでいます。

全日本年金者組合の女性部長である中川滋子さんは、この問題を解決するために奮闘しています。その中川さんに、年金問題についてインタビューしました。

中川滋子さんの声

「中川さんはいいわよね」

年金問題は大きな社会問題ですが、女性の問題としてはあまり認識されていません。

私は元教職員で組合活動もしていましたが、以前は女性の年金問題があるとは思っていませんでした。

しかし、自分が年金をもらうようになると、周囲の女性から「中川さんはいいわよね。元先生だから年金が高くて」と言われます。

この言葉には何も返せませんでした。いくらもらっているのかは聞けませんし、相手も言いたくないのです。

調べてみると、女性の年金の平均額が男性に比べて低いことは明らかです。これを社会問題として考える必要がありました。

女性部の調査結果

そこで女性部では調査を行いました。

今年2月には「女性の低年金実態告発集」という冊子を発行しました。

集めるのに苦労しました。みな、自分のみじめな生活について話したがりませんでした。しかし、1年間かけて175の声を集めました。

例えば、東京の74歳の女性は「夫婦で12万円余りの年金をもらっているが、介護保険料や医療費を差し引くと9万円しか残らない。どちらか1人が倒れれば、生きていけない現実が目の前に迫る。精神的にも落ち込む」と訴えています。

このような状況では、映画やお芝居に行くことは非常に難しいです。旅行などは考えられませんし、新しい服も買えません。本当に食べるだけの生活です。夏はクーラーの電気代、冬は灯油代が厳しいです。そのため、クーラーを使う時間を決めて使う人もいます。

それでも健康なうちは何とかなりますが、病気になると医療費がかかります。そして、働けるうちはずっと働き続けなければなりません。高齢者でも働く人が増えているのは、このためです。

なぜ女性の問題として認識されなかったのか

なぜ女性の年金問題が以前から認識されてこなかったのでしょうか。

男性の年金額は女性ほど低くないため、女性の低年金は課題とは思われていませんでした。

私自身も、女性の低年金者の声がこれまで届いていなかったと実感しました。

実際には、告発集に掲載されている事例よりもっとひどい状況もあります。月に6万円しかもらっていない人の声もありますが、国民年金であれば40年間フルに納めてもらえる満額(約6万5000円)に近い額です。

しかし女性は、仕事の中断などが多いため、国民年金を満額もらえない人が多いのです。月に1万5000円や2万円という人も多くいます。

なぜ女性の年金が低いのかと言えば、女性の賃金が低いからです。

夫婦2人なら何とか生活できるかもしれませんが、1人になると生活が困難になります。女性の方が長く生きるため、1人になる可能性が高く、低年金の影響も大きいのです。

女性の現状と日本の政策

高齢者が現役だった時代の女性の状況は厳しかったです。

女性は働くこと自体が難しかったのです。人生のさまざまな場面で働くことを諦めさせられてきました。

結婚すると仕事を辞めてほしいと言われ、出産すると仕事を諦めさせられました。働いても男性との格差に苦しめられてきました。

日本の戦後、男性をフルに働かせ、家庭を守るのは女性の仕事とされてきました。

ケア労働や保育、看護、介護も「女性の仕事」とされ、そのために賃金も低いのです。

女性個人の責任ではない

今、低年金に苦しんでいる女性自身も、「仕事を辞めなければ良かった」と自分の責任であるかのように言う人がいます。

しかし、それは違います。女性を働かせないようにしてきたのは日本の政策です。男性を使い倒すために、家庭から男性を引き上げて、家事育児はすべて女性に任せたのです。これは、日本の政治の責任です。

人として生きる権利の問題

女性であるが故に、苦しい状況にあるのです。

女性の人生は楽しいものではありませんでした。生まれた時から、「男だったら良かったのに」と言われ、「女は大学に行かなくていい」と言われ、結婚すれば退職が当たり前で、家事労働を一手に引き受けてきました。

そのために低年金になるのです。人生の終盤まで、ジェンダーギャップに苦しめられています。

ある女性は、「自分は夫の扶養で生きてきた。最後は自分のお金で過ごしたい、これが夢です」と語っています。

年金の問題は女性の家庭内の立場も悪化させています。わがままも言えず、贅沢もできず、夫が電気をつけすぎると電気を消してまわるのです。

このような女性が今も将来も存在するのであれば、年金で食べることができるかどうかという前に、人が人として生きる権利の問題です。

将来も続く問題

就職氷河期世代をはじめとする今の若い人たちは、非正規雇用が多くなっています。賃金も上がっていません。働く女性の割合は増えましたが、賃金は低いままです。低年金の女性が増えていくという現状があります。

この問題をどう解決すれば良いのでしょうか。

最低保障年金が必要です。年金者組合では、無年金の人も含めてすべての人に8万円の保障を目標としています。

しかしこれでは足りません。実際には13万円程度が必要です。夫婦2人ならば、計16万円あれば何とか生活できるでしょう。しかし1人になった時には13万円ぐらいが必要です。

この問題は簡単に解決することができません。しかし、何とか希望の光が見えるようになることを願っています。

この記事は日本ニュース24時間によって提供されました。詳細はこちらをご覧ください。