政府有料チャーターに批判の声 外務省幹部「退避搭乗8人は想定外」

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政府がイスラエルからの出国を希望する在留邦人向けに手配した大型ジェットのチャーター機について、搭乗希望者に1人3万円の負担を求め、利用者が8人しかいなかったことがネット交流サービス(SNS)上で批判されています。実は外務省でも搭乗者数の少なさは「想定外」だったようで、省幹部は「調査で把握していた人数よりずっと少なかった」と打ち明けました。なぜこうなったのでしょうか。

政府のチャーター機が物議を醸す

政府は13日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘激化を受け、出国希望者向けのチャーター機1便を手配したと発表しました。このチャーター機はイスラエル中部のテルアビブの国際空港を現地時間14日に出発し、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに同日到着しました。

しかし、搭乗した邦人はわずか8人にとどまり、一部報道によると「自己負担が3万円で行き先がドバイまでであることに不満が出ている」と伝えられました。これに対してSNS上では「せこすぎる」といった批判が日本政府に寄せられました。また、韓国軍の輸送機が14日、空き座席に邦人51人を乗せて無料でイスラエルからソウルまで輸送したことも、日本政府への批判を増幅させました。

外務省の説明とは?

外務省によると、事前に実施した意向調査では100人以上の搭乗希望が寄せられたため、チャーター機派遣を決定し、200座席以上設置できる機種を仲介業者を通じて手配しました。しかし、「中東地域のチャーター機需要が増し、刻一刻と状況が変わる」との関係者の説明により、調査段階で行き先を明示しなかったとのことです。具体的な行き先がドバイに決まったのは「早期運航を優先した結果」だったようで、結果的に8人しか乗ることができなかったのです。外務省の幹部は「邦人退避は、その国から避難させるのが目的で日本に帰すことが目的ではない。8人でもやってよかった」と説明しました。

このように、政府がチャーター機を手配する際には、商用便が運航している間は利用者に自己負担を求めることが原則です。これは商用便を利用する人々との公平性を確保するためであり、他の国でも同様のルールが適用されています。テルアビブの国際空港は現在、平時に比べて便数が減少しているものの、発着が続いており、チャーター機はあくまで商用便の補完という位置づけです。

ただし、過去には例外もあります。政府は「内戦の発生や武力攻撃など、保護の観点から政府として退避をお願いせざるを得ない場合」や「チャーター機以外に移動手段がない場合」は、公費負担することを説明してきました。1990年にイラクがクウェートに侵攻した際には、イラクからチャーター機で退避させた際の費用はすべて公費で賄われました。

政府の対応は適切だったのか?

松野博一官房長官は16日の記者会見で、日本と韓国の対応の違いについて問われると、「適切だったと考えている」と短く答えました。ただし、外務省関係者は「日本だけが『対応が遅い』と言われないよう急いだが、8人だけではかえって裏目に出てしまった」と肩を落としています。

政府のチャーター機に関する批判は、様々な要素を含んでいます。邦人の安全確保と経済的負担のバランスを取るのは容易なことではありません。しかし、政府は引き続き国民の声に耳を傾け、より適切な対応を模索する必要があります。

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