イントロダクション
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザへの地上作戦を実施し、イスラム主義組織ハマスによって約200人の人質が拉致された件で、人質救出のシナリオが難航しているようです。イスラエルにとっては、人質救出よりもハマスの壊滅が優先事項となっているため、救出作戦は困難を極めることが予想されます。
拉致された人数と国籍
イスラエル軍によると、拉致された人質の数は203人と発表されています。このうち、イスラエル人が大半を占めていますが、米英独やロシア、タイなど25か国の78人も含まれています。また、高齢者は10~20人であり、18歳以下は30人で乳児や幼児も含まれているとされています。
救出作戦の実施とその困難さ
イスラエル軍は既にガザに小規模部隊を潜入させ、情報収集を行っています。さらに、人質問題担当の専門管理局が設置され、数百人のイスラエル軍情報機関員や対外情報機関モサド、民間の専門家が対策にあたっています。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「救出にあらゆる手段を尽くす」と強調し、ハマス掃討と特殊部隊による救出作戦を両立させる意向を示しています。
しかし、救出作戦は非常に困難なものとなるでしょう。イスラエルの予備役軍情報将校によれば、人質はガザの地下トンネルや地下壕で拘束されており、場所も複数にわたっている可能性が高いとされています。また、イスラエル軍の諜報活動に対する警戒心から、ハマスが情報漏洩を防ぐために電子機器の使用を制限し、人質を少数のメンバーが管理していると考えられています。
専門家の見解と家族の思い
パレスチナ情勢に詳しいブリュッセル自由大学のヨナサン・ホルスラグ教授は、「ハマスは既に十分な時間をかけて対策を講じており、混乱する戦闘の中で奇跡的な救出策は存在しないだろう」と指摘しています。また、英BBCは専門家の話として「ハマスは、追い詰められれば人質を殺すことをためらわない」と報じています。
一方、ハマスの軍事部門カッサム隊の報道官はSNS上で「状況次第では人質を解放する」と交渉の可能性を示唆しましたが、イスラエルはハマスの壊滅を最優先としているため、解放交渉が進む可能性は低いと考えられます。
人質の家族は日々、メディアやSNSを通じて解放を訴えています。米ニューヨークではバイデン政権に外交交渉の実施を求めるデモも行われました。しかし、情報将校は「ハマス壊滅が優先事項であることは変わらない」と指摘しています。
記事のソースリンク:https://news.yahoo.co.jp/articles/96dee1824da15a9c95623fa2c10e6484512a3601