「音声チック」理由に工場へ異動させられ 決意した脳に電極埋め込む手術、背中を押した夢

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トゥレット症の当事者たちは、自分の意思に反して体を動かしたり、声を出したりすることに悩みながら生きています。ある男性はトゥレット症の症状を理由に職場から追われ、30歳前に外科手術を受けることを決意しました。手術を経て、彼の症状は軽減し、夢だった教師としての道を踏み出すことができました。

「気にしない」が一番の配慮

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大内翼さん(28)は千葉県の高校で美術の教師として働いています。自分のデザイン経験を生かし、生徒たちと一緒に地元の民芸品などを作っています。職員室では、大きな声を出してしまっても周りの人は気にしません。彼は自分の席を端に配置してもらい、症状がひどい時は別の場所で作業することもあります。「症状を気にしないでいてもらえるのが一番の配慮です」と彼は話しています。ついに彼は望んでいた場所で笑顔を取り戻しました。

主な症状は音声チック

トゥレット症は、突然の「音声チック」や「運動チック」などが続く神経疾患で、症状が1年以上続くと診断されます。発症率は200人に1人程度で、成人までに症状が消えたり軽減したりする人もいますが、一部の人は成人後も激しい症状が続きます。現代の医学では、トゥレット症を完全に治す方法はまだ見つかっていません。

大内さんは幼稚園の頃から症状が現れ始めました。目をパチパチさせるような症状がありましたが、大学生になると音声チックがひどくなり、「これは病気かもしれない」と感じました。彼の場合、音声チックが主な症状で、運動チックとの割合はおおむね7対3です。

症状を理由に異動

大内さんは以前、病気や症状を理解されずに苦い経験をしました。大学卒業後の2017年4月、彼は教師になる前に都内の企業に就職しました。しかし、数年後、先輩社員と彼の音声チックを巡り口論になりました。彼は先輩に「うるせえな」と口にしてしまいました。仲裁が入り一時的に収まりましたが、翌日、社長から呼び出され、「我慢しろよ」と話されました。彼はしばらくして群馬県の工場に異動することになりました。「工場では機械が動いているから、周りの人も君の声は気にならないだろう」と社長は言いました。彼は理不尽な異動に怒りを感じましたが、同時に人間関係から解放されることにも安堵しました。工場で働いていた彼は新型コロナの影響で退職を促され、職場を去らざるを得ませんでした。「早めに選ばれてしまったということですね」と話した彼は少ない言葉で振り返りました。

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