ウクライナと中東「2つの戦争」をめぐる各国の思惑は? 鈴木一人氏・小泉悠氏と考える

ウクライナと中東情勢は、世界の注目を集めています。ロシアによるウクライナへの侵攻から1年8カ月が経過し、同時に中東ではハマスがイスラエル国籍の人質2人を解放するなどの動きが見られます。世界情勢において、「2つの戦争」について、鈴木一人氏と小泉悠氏が独自の視点から検証しています。

ウクライナへのアメリカの武器供与でクリミアが射程に入るか

ウクライナとロシアの戦闘は激化の一途をたどっています。ウクライナは要衝トクマクへの突破を目指していますが、容易には成功していません。ロシアも周辺に追加部隊を展開しており、アウディイウカでの攻勢を継続しています。しかし、現時点では双方とも決定的な戦果を挙げていません。

クリミア半島が焦点となるでしょう。ウクライナがクリミア半島へのアプローチをどうするかが重要です。冬が近づくにつれ、戦況は一層激化する可能性があります。

その一方で、アウディイウカがロシア軍にとって非常に重要な地域であるとは言い切れません。重要なのは、鉄道が通るトクマクです。ウクライナがトクマクを制圧することで、ロシア軍の東西の兵站を分断することができます。

ウクライナ軍はアメリカから供与された地対地ミサイルATACMSを使い、ロシア軍の飛行場への攻撃に成功しています。このミサイルの射程は約165kmです。今後もウクライナ軍がこのミサイルをロシア軍に対して使用し続けることができるかが注目されます。

アメリカはウクライナに兵器を供与することで、戦闘のエスカレーションを避け、ロシアの報復を回避しようとしています。一方、ロシア側の報復能力は限られていると言われています。

ウクライナと中東の情勢はどちらも緊迫しており、各国の思惑が絡み合っています。国際社会の動向に注目が集まります。

source