【ワシントン=塩原永久】米国務省のナッパー次官補代理は7日、ワシントンで講演し、韓国が不法占拠する竹島(島根県隠岐の島町)周辺でロシアと中国の軍用機が共同で警戒飛行を行ったのは「日韓の摩擦につけ込む試みだ」と述べ、警戒感を示した。ナッパー氏は「日韓双方とも関係改善の責務を負っている」と指摘し、対立緩和に向けた対応を促した。
竹島周辺では先月、中露軍機が日本領空を侵犯。韓国軍の戦闘機が警告射撃した。
ナッパー氏は「(東アジア地域が)北朝鮮や中露の問題に直面し、日米韓の結束が決定的に重要」になっていると強調。中露軍機の行動は、日米韓に対する「真っ向からの挑戦」だとの見方を示し、3カ国による連携に「くさびを打ち込むことを決して許してはならない」と警戒を強めるよう呼びかけた。
さらにナッパー氏は、日韓関係の悪化を避けるには「思慮深さが求められている」と語り、「国の指導者たちの冷静な言葉が、同じような冷静な反応を国民から引き出す」と指摘した。
米政府の立場について、ナッパー氏は、日韓が解決策を見いだすことを望むと改めて表明する一方、「米国は引き続きこの問題に関与し、(米国の)2つの同盟国による対話を促す用意がある」と述べた。
同氏は国務省で日本と韓国の両方を担当している。