10月29日から30日にかけて、SNS(交流サイト)でイスラエル軍による空襲で犠牲になったパレスチナ住民の遺体の一部が、白い布にくるまれた状態で動いたり鼻をかいたりする動画が拡散されました。
「模擬遺体」の動画が拡散
動画では、パレスチナのテロ組織「ハマス」の奇襲攻撃の後、イスラエル空軍の報復攻撃によって死亡したとされるパレスチナ住民の遺体が、白い布にくるまれて地面に置かれています。しかし、これらの「遺体」のうち何体かは白い布の中で動いており、中には手で顔を触っている様子も見られます。
この動画には、アラブ系放送局「アルジャジーラ」が制作した「やらせ動画」ではないかとの疑惑が浮上し、中国やイタリア、インドなど世界中に拡散されました。
動画はフェイクニュースだった
しかし実際には、この動画は動画内で語られているような出来事ではありません。動画は元々、エジプトの大学の政治イベントで企画された「模擬遺体」の動画だったのです。つまり、この動画はイスラエル軍の蛮行を告発するものではなく、誤って情報が伝えられたフェイクニュースだったのです。
また、別の写真でも、ガザ地区のパレスチナ住民が遺体を収容する袋に入った状態で座ってスマートフォンでメッセージを送っている写真が拡散されました。しかし、これも実際には2022年のハロウィーン仮装大会で撮影されたものであり、イスラエルとハマスの紛争とは無関係だったのです。
このような偽情報やフェイクニュースが拡散されることは、現代のSNSの特徴でもあります。私たちは情報を見る際には、注意深く見極める必要があります。