陰謀論という言葉を聞いたことがありますか？新型コロナウイルスの感染拡大を広めるためのデマとして、「新型コロナは利権団体によるデマ」「ワクチンにはICチップが入っている」といった陰謀論がSNSなどで広まっています。日本人社会心理学者による研究により、陰謀論に「ハマりやすい」人々の特徴が明らかになりました。
「ワクチンにICチップ」は無理筋では……
大薗博記准教授（42歳、鹿児島大学法文学部）と榊原良太准教授（36歳、昭和女子大学人間社会学部）は、この論文を執筆しました。
この研究では、「頭が良すぎて陰謀論にハマるのか」「社会に不満があるとハマるのか」といったことを検証しました。大薗准教授は、鹿児島大学時代の同僚である榊原准教授と共同で研究を行い、今回の論文を書き上げました。
研究のきっかけは、新型コロナの流行期に「ワクチンにICチップが入っている」という噂がSNSで広まっていることに触れたことでした。この噂は荒唐無稽であり、「かなり無理筋な話」であるにもかかわらず、どんどんシェアされて拡大されていく現象を心理学のアプローチで探求することになりました。
今回の研究では、「一般陰謀論」と「コロナ陰謀論」について調査しました。
- 一般陰謀論：「秘密組織が地球外生命体とコンタクトをとっているが、その事実は大衆には伏せられている」といったもの。
- コロナ陰謀論：「ウイルスは科学者たちによって作り出された生物兵器だ」「ウイルスは利権団体が金銭的利益のために考案したデマだ」といったものを質問項目に設定しました。
裏テーマは「頭が良すぎて陰謀論にハマる」
この調査はインターネットで参加者を募り、対象者は1,400人でした。2022年10月30日に実施され、有効な回答は937件でした。質問は100問あり、陰謀に関連する質問以外にも、「バットとボールは合わせて1,100円。バットはボールより1,000円高い。では、ボールの値段はいくらでしょう？」といった「熟慮性（よく考える性）」を試す質問や、社会への不満、収入、学歴など多岐にわたる質問が含まれていました。
この研究により、「頭の良い人ほど陰謀論にハマる」という興味深い結果が明らかになりました。なぜ頭の良い人が陰謀論にハマるのか、その理由はまだ明確には分かっていません。しかし、これからさらなる研究が進められることで、陰謀論にハマる心理的要素や背景が解明されるかもしれません。
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