ロシア軍のミサイル攻撃により、ウクライナ軍の兵士が一気に20人以上死亡したとの報道があり、ウクライナ軍幹部への批判が高まっています。
ウクライナのルステム・ウメロフ国防相は4日、南部ザポリッジャ州で3日に第128機械化旅団「ザカルパッチャ」の兵士が複数死亡したと認め、この「悲劇」について徹底的な調査を行うと述べました。
ウクライナ軍によると、ロシアのミサイル攻撃が原因で犠牲者が出たということですが、具体的な人数は公表されていません。
ウクライナ・メディアやロシアの軍事ブロガーによると、前線に近い村で行われていた勲章授与式でウクライナ兵20人以上が死亡したとのことです。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5日、国民向けの毎晩の動画スピーチで、「これは避けられた悲劇だった」と述べました。
大統領は、「ウメロフ国防相は、何が起きたのか、誰がどの命令を出したのかの全容を私に報告してくれました。この悲劇に対する刑事捜査も始まっています」と説明しました。
また、ゼレンスキー氏は、「主な目標は、事態の真相を完全に解明し、このような悲劇が二度と起きないようにすることです。戦場にいる兵士たちは、敵の偵察や攻撃が到達可能な地域でどのように行動し、安全を守るべきかを理解しています」とも述べました。
しかし、複数のウクライナ兵士や軍事専門家は、ロシアの空爆を受ける危険のある場所で勲章授与式を行うべきではなかったと批判しています。彼らによれば、ロシアの無人偵察機(ドローン)は常に前線近くのウクライナ軍の行動を監視しており、空爆や砲撃の目標を定めるために活用されているとのことです。
この攻撃に関して、ロシア軍は公式にコメントしていません。
ウクライナの戦略コミュニケーション・センターである「StratCom Ukraine」によれば、ロシアの短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」がザポリッジャ州での攻撃に使用されたとのことです。民間人も複数負傷したとのことですが、詳細は明らかにされていません。
ウクライナ議会のミハイロ・ヴォリネツ議員は5日、式典攻撃による死者は28人、負傷者は53人だと述べましたが、これは公式に確認されていません。
第128機械化旅団は公式にコメントしていませんが、同旅団に所属する兵士の大多数はザカルパッチャ州出身です。この攻撃の犠牲者の多くも同州出身であり、同州では3日間の服喪が宣言されました。
攻撃現場の位置は公表されていませんが、ウクライナのメディアは前線近くの村だと報じています。ロシアの軍事ブロガーたちは、ディミトロヴォ村(ウクライナでは「ザリチネ」と改名)だと主張しています。
この攻撃は、ウクライナ軍が砲撃・ミサイル部隊に所属する兵士をたたえる「砲撃の日」の記念式典中に発生したとされています。
ウクライナの志願兵大隊であるソネチコ(太陽の意味)のルスラン・カハネツ司令官は4日、ロシアの攻撃の後、現場には「大勢の将校や兵士の遺体が倒れていた」とフェイスブックに投稿しました。また、焼け焦げた車両や兵士の遺体の写真も投稿されています。
さらに、近くに配備されている旅団に所属するウクライナ兵が、勲章授与式を開いた士官たちを公然と批判する動画も出回っています。
名前が明らかにされていない兵士は、前線での攻撃を受けやすい場所での式典開催について、「いったい何を考えていたのか」と批判し、「前線にいる人間は誰もが同じことを言う。2人以上が集まると、必ず『到来』(攻撃の意味)があるということを」と述べました。
ウクライナで有名な志願兵であるセルヒイ・ステルネンコ氏は4日、攻撃された式典を計画した指揮官は終身刑に服すべきだと主張しています。「同様なことは過去にも何度か起きていました。組織自体のあり方を変えなければ、同じような事態は今後も繰り返されるでしょう」と述べています。
ソーシャルメディアでも、多くのウクライナ人が式典の主催者に対して処罰を求めており、「誰がみんなを集めたのか? なぜその名前を隠しているのか? 誰がこの計画を立てたのか。関係者は捜査中なのか」といった投稿が相次いでいます。
また、ロシアの軍事ブロガーたちは20人以上のウクライナ兵が式典攻撃によって死亡したと報じています。
この出来事が頻繁に起きる理由について、ウクライナ軍の幹部は考える必要があると指摘するブロガーもいます。
一方、別のロシア政府系ブロガーは、「ウクライナ人は以前にも同様の方法でロシア人を『処罰』したことが何度かあります。そのため、私たちは屋外での行進や集合をやめて、常に空を見上げるようにしました」と述べています。
(英語記事 Ukraine war: Military chiefs in Kyiv under pressure over deadly Russian strike)