バングラデシュ南部マタバリでは、大型船が入港可能な深海港の開発が進んでいます。このプロジェクトは日本の円借款によって実現されており、インド北東部での道路整備と連動させる計画です。このバングラデシュの深海港の開発により、ベンガル湾を通じてインドと東南アジアのつながりが強化されます。さらに、中国がインド洋へ進出を図っている中で、日本が先手を打つことができるでしょう。
深さ16メートル
深海港の建設はバングラデシュ南部マタバリで進んでいます(写真参照)。この深海港は深さ16メートルになる予定で、コンテナや一般貨物用のターミナルを備えます。また、近くの臨海部では、火力発電所の建設も行われており、石炭の輸送用の港や防波堤はすでに完成しています。
深海港では大型船も接岸できるため、国際協力機構(JICA)の幹部は「現在行われているシンガポールやスリランカの港での小さな船への積み替え作業が不要となる」と述べています。現在、バングラデシュではチッタゴン港がコンテナ貨物の98%を取り扱っていますが、深海港が完成すればマタバリ港の取り扱い割合は4割に上昇する見込みです。
物流の中核
マタバリ周辺は入り組んだ川と低い海抜のため、高潮などの影響を受けやすく、社会基盤(インフラ)整備が遅れていました。しかし、2014年の日本とバングラデシュの首脳会談において、ベンガル湾臨海部の輸送網整備やインフラ開発の取り組みが始まりました。この取り組みにより、マタバリは物流や重化学工業、エネルギー供給の中核となる予定です。港湾設備の総事業費は約3000億円で、そのうち7割は円借款によって賄われています。
また、将来的にはマタバリ周辺に3400ヘクタールの工業団地を整備する計画もあります。
中国の事業を中止
マタバリ港とインド北東部のトリプラ州の間では、日本の円借款による幹線道路の整備が進んでいます。トリプラ州では、バングラデシュ東部のアカウラと結ぶ鉄道も完成し、開通式が行われました。
この港湾開発により、日本はインドへの物流ルートを確保することで中国の「一帯一路」構想に先手を打つことができます。詳細はこちらから。