バイデン政権、ウクライナに118億ドルの経済支援を要請

バイデン政権がウクライナ向けの経済支援として118億ドルを議会に要請しています。もし要請が通らなければ、ウクライナ政府は来年度の予算である「非軍事支出」を確保するために「軍事支出」を削減するか、他の国が米国の分まで経済支援を肩代わりする必要があります。

600億ドルの経済支援の一部として118億ドルが含まれています

バイデン政権は先月20日に「米国の安全保障ニーズに資金を供給するため緊急予算を議会に要請する」と発表しました。その内訳はウクライナ支援に600億ドル、イスラエル支援に140億ドル、ウクライナ・イスラエル・ガザに対する人道支援に90億ドル、米原潜の即応性を高めるためのインフラ整備に30億ドル、インド太平洋地域の同盟国支援に20億ドル、国境警備と移民問題に110億ドル、発展途上国支援に20億ドル、フェンタニル対策に10億ドル、移民支援に10億ドル、児童労働対策に1億ドルで、緊急予算の総額は1,000億ドルを超えています。

出典:Office of Speaker Mike Johnson Public Domain ジョンソン下院議長

バイデン政権はウクライナ支援をイスラエル支援など他の要求に混ぜたパッケージで議会を通過させたいと考えていましたが、下院の共和党はイスラエル支援法案(143億ドル)のみを可決しました。上院が同法案を可決するかどうかはまだ定かではありませんが、共和党議員のマイク・ガルシア下院議員はバイデン大統領に対し、ウクライナへの追加資金を議会が検討するべきではないと主張する書簡を共和党議員7人とともに送りました。

このような状況を受けて、バイデン政権の財務長官、国防長官、国務長官、国際開発庁長官は「ウクライナに118億ドルの予算支援を行うことを承認して欲しい」と議会に要請しました。ウクライナ政府は税収以上の資金を軍事分野の支出に割り当てているため、政府機能の維持や経済分野など「非軍事分野への支出」は米国やカナダ、EU諸国からの金融支援で賄われており、IMFのウクライナ向け融資も同盟国からの援助を前提に設計されています。

出典:Сухопутні війська ЗС України

つまり、「米国が突然支援を停止すればウクライナは軍事支出から非軍事支出への資金転用を迫られる」という意味です。このような事態に陥ればロシア軍の戦いにも影響が及びますので、「600億ドルに含まれている経済支援分=118億ドルだけでも先に承認して欲しい」と議会に要請しています。

なお、下院がウクライナへの予算支援を承認するかどうかは不明ですが、ホワイトハウスの関係者は「ウクライナへの支援資金の管理、資金の使用用途に関する説明責任、汚職撲滅を目的とした改革を進めている」と訴えています。

この記事の原文はこちらからご覧いただけます。