アルメニア、ナゴルノ・カラバフをアゼル領と認め和平条約に署名する方針

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チェコのプラハで開催されたアゼルバイジャン、アルメニア、フランス、EUの4者会談後、アリエフ大統領とパシニャン首相は「領土の相互承認が含まれる和平条約」の実務的作業に入ることで合意した。

個人的にはロシアのウクライナ侵攻失敗がナゴルノ・カラバフ問題に止めを刺したという印象を抱いている

これまでの流れを簡単に説明すると2020年のナゴルノ・カラバフ紛争後、アゼルバイジャンとアルメニアはEUの仲介で「和平交渉に向けた準備」の開始に合意したが、この枠組みに「領土の相互承認=ナゴルノ・カラバフがアゼル領の一部であることを承認するという意味」が含まれていることが発覚。

アルメニア、ナゴルノ・カラバフをアゼル領と認め和平条約に署名する方針

出典:Google Map 管理人作成

アルメニアのミルゾヤン外相も「ナゴルノ・カラバフ問題は領土問題ではなく当該地域に住むアルメニア系住民の権利問題だ」と主張したため国民が激怒、今年8月にパシニャン首相の退陣を求め数千規模の抗議集会に発展したが、9月の武力衝突後にパシニャン首相は「私のことを裏切り者だと国民は罵るかもしれない内容の文書に署名することを考えている。恐らく国民は私を権力の座から引きずり降ろそうとするかもしれないが、29,800km²の国土でアルメニア国民が永続的な平和と安全を享受できなら自分がどうなろうと知ったことではない」と発言。

ハチャトゥリアン大統領も「アゼルバイジャンの一部であると認める可能性の文書は我々にとって受け入れがたいものである」と言及、29,800km²という数字は国際的に認知されたアルメニア領に等しく、アゼルバイジャンの一部であると部分はアルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ地域)を指しているには誰の目にも明らかで、アゼルバイジャンとの和平交渉を進めようとするパシニャン政権への反発は相当激しい。

アルメニア、ナゴルノ・カラバフをアゼル領と認め和平条約に署名する方針

出典:@301_AD 8月に発生した首相退陣を求め数千規模の抗議集会

しかしチェコのプラハで6日、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、アルメニアのパシニャン首相、フランスのマクロン大統領、欧州理事会のミシェル議長による4者会談が行われ、アルメニアはアゼルバイジャンが提案した5原則(領土の相互承認、互いの領土に対する領有権の破棄、武力・威嚇の不使用、国境策定、国境解放)を受け入れ、両国は5原則に基いて和平条約に関する実務協議を開始することで合意した。

ナゴルノ・カラバフ地域に対するアルメニア人やアルメニア系住民の主義主張は別にしても、ナゴルノ・カラバフ地域を「アルツァフ共和国」もしくは「アルメニアの保護領」として存続させたいアルメニアの政策は絶望的なほど国際的な支持がなく、領土の相互承認や国境策定がない状況が続けばアルメニアは再びアゼルバイジャンとの紛争に巻き込まれる可能性が高い。

アルメニア、ナゴルノ・カラバフをアゼル領と認め和平条約に署名する方針

出典:CSTO

9月の武力衝突でロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)が役に立たないことも判明、アルメニアは安全保障の後ろ盾をロシアから米国に変更する動きも見せているが、恐らく「新たな安全保障を受け取りたければ法的にアゼルバイジャンとの紛争状態を終わらせろ」と要求されていても不思議はなく、トルコのエルドアン大統領も「和平条約が発効すればアルメニアとの関係を正常化し、国境、空域、鉄道を解放する」と述べている。

つまりアルメニアの将来を考えて孤立から脱却するのにアゼルバイジャンとの和平協定は避けられず、ナゴルノ・カラバフ問題を「領土問題」から「アルメニア系住民の権利問題」に変更するという奇策はパシニャン政権にとってギリギリのラインなのだろう。

アルメニア、ナゴルノ・カラバフをアゼル領と認め和平条約に署名する方針

出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia

4者会談後にアゼルバイジャンのアリエフ大統領は「和平条約への署名は年内に可能だ」との認識を示しているが、ナゴルノ・カラバフのために死んで行った犠牲者のことを考えると国民がパシニャン政権の方針を受け入れるとは考えにくく、既に複数の政治家が「敗北主義的な立場に染まり、自国の利益のため戦う準備が出来ていない状況を打開するためには、国民が団結して国益のために行動する新たな政権が必要だ」と主張しており、無事に和平条約への署名→議会での批准にまで辿り着けるのだろうか?

個人的にはロシアのウクライナ侵攻失敗がナゴルノ・カラバフ問題に止めを刺したという印象を抱いている。

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※アイキャッチ画像の出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia

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