専攻医の過労自殺、制度運営側が負担を下げると表明…内科では修了者の半数超がリポートに200時間

神戸市の総合病院「甲南医療センター」で発生した専攻医の過労自殺について、医療現場からは「新専門医制度」の影響を指摘する声が上がっています。この制度では、専攻医は診療に従事しながら、研修プログラムの一環として学術集会の発表やリポート作成を行う必要がありますが、これが大きな負担となっているようです。この問題に対し、一部の学会が内容の見直しを検討し始めています。

労基署も指摘

労働基準監督署も、この問題を指摘しています。特に、オンラインで行われる症例の入力作業が負担になっているとのことです。

「研修プログラムが無関係だとは思っていない」と語るのは、日本専門医機構の渡辺毅理事長です。彼は先月の定例記者会見で、過労自殺問題に触れ、「専攻医の負担を下げるのが大切だと考える」と述べました。実際、自殺した専攻医が所属し、会員数が最大の日本内科学会がプログラムの見直しを検討していることも明らかになりました。

センターの消化器内科で勤務していた高島晨伍さん(当時26歳)は、昨年5月に自宅で自殺し、今年6月に労災認定されました。彼の自殺前1か月の残業時間は、国の労災認定基準(月160時間)を大幅に上回る207時間でした。高島さんは内科の専門医を目指していたため、労基署は長時間労働の原因として、不慣れな診療業務に加えて「研修プログラムのリポート作成や学術集会の発表」も挙げています。

「キャリア人質」

専門医は、高度な知識や技術を持つ医師のことを指します。資格を取得するには、日本専門医機構が認定する研修プログラムを3〜5年受講する必要があります。その期間の医師を専攻医と呼びます。

以前は、内科や外科など学会ごとに専門医を認定していましたが、基準がバラバラでした。しかし、2018年に各学会が研修プログラムの基準を定め、実際に研修を実施する病院を日本専門医機構が認定する新制度に移行しました。これは、医師の質を担保し、患者が安心して診察を受けられるようにするための措置でしたが、研修に関しては「負担が大きすぎる」との声が各地から上がっています。

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このような問題を抱える専攻医制度について、日本専門医機構は負担を下げる方針を表明しています。ただし、具体的な改善策はまだ見えてきません。今後、より健全な制度運営が求められるでしょう。

※本記事の原文はこちら:Yahoo!ニュース

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