千葉県の「キョン」問題 住民の悲鳴が繁殖の急増を告げる

キョンの画像

千葉県では、「キョン」と呼ばれる野生動物が約7万頭も生息していることが判明しました。過去10年間でその数は3倍に急増し、農作物への被害や特異な鳴き声によって住民たちは困惑しています。

■かわいらしい外見に隠された不気味な鳴き声

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キョンは、濃い茶色の毛並みと愛らしい目を持つ外見をしています。一見するとかわいらしいキョンですが、収穫間近のミニトマトが食べつくされ、全滅するほどの被害をもたらしています。

勝浦市民はこう語ります。「おいしいものがいっぱいあると食べ放題ですから。サラダバーみたいに」。キョンの外見からは想像もつかないほど不気味な鳴き声もまた、住民を悩ませているのです。

キョンは20年以上前に千葉県勝浦市のレジャー施設から脱走し、野生化した結果、爆発的に増加しました。そのため、「特定外来生物」として指定され、生態系や農業に被害を及ぼす生物と認識されています。

私たちの取材では、午後3時に勝浦市に向かいました。すると、キョンが跳ねるように歩き回り、道路を横断している様子が目撃されました。本来、キョンは警戒心が強いとされますが、カメラの前でも堂々と草を食べ、歩き回っていました。

人々が近くを通り過ぎても、キョンはお構いなし。何よりも住民を悩ませているのは、かわいらしい外見とは裏腹な不気味な鳴き声です。昼夜問わず鳴き声を響かせているのです。「結構、不気味」「あんまりいい声じゃないです。見た目とは全然違うんですけどね」といすみ市民は話します。

■キョンの生息数3倍 住民たちは頭を抱える

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さらに、住民を悩ますもう一つの問題があります。勝浦市民はこう述べました。「庭にある花とか食べられちゃう。みんなむしゃぶり食っちゃう」。キョンは雑食性であり、花壇の花や家庭菜園の野菜を見境なく食べてしまいます。千葉県によると、昨年度の米や白菜などの農業被害は421万円にも上ります。

畑では収穫直前だったミニトマトが実だけでなく葉っぱまで食べられてしまっています。御宿町の畑でもキョンの跡が明確に残されており、キョンの跳躍力は3メートルの高さのネットをも飛び越えることもあります。住民たちはこの問題に頭を抱えています。

千葉県によると、2012年度の推定キョンの生息数は約2万7900頭でしたが、昨年度には7万1500頭となり、10年でおよそ3倍に増えました。キョンの生息域も広がり続け、千葉県の半分ほどに定着していると考えられています。

この問題を解決するためには、専門家の知見と住民との協力が必要です。キョンの繁殖を抑制し、農作物や環境に与える被害を最小限にするため、積極的な対策が求められます。

参照リンク:日本ニュース24時間