ゼレンスキー大統領は「アウディーイウカでロシア軍を消耗させれば戦争全体の流れが変わる」と主張しましたが、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも「ステポヴェ集落の北側地域を占領(喪失)した」と報告しています。
社会保障への財政支援が途切れると軍事分野の支出を減らすか、社会保障への支出を行わないかを選ぶしかない
ゼレンスキー大統領は14日夜、「ロシア軍はバフムート近郊よりもアウディーイウカ近郊で、より早いペースで、より大規模に兵士と装備を失っている。アウディーイウカ近郊でロシア軍が破壊されればされるほど戦争全体の流れが敵にとって悪くなる」と主張しましたが、アウディーイウカの状況は刻々と悪化しています。
ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARによると、15日には「ステポヴェには足場を築く場所がないため両軍の兵士が存在せず、ウクライナ軍も集落郊外の森林ゾーンに後退した。ロシア軍も両軍の砲撃に晒されるステポヴェを慌てて占領する必要がない。高台の南東に位置する工場地域にロシア軍が侵入した。アウディーイウカ南部の工場地域でも支配地域を拡大させている」と報告されています。
ロシア側の主張は視覚的に裏付けられておらず、ウクライナ人が運営するDEEP STATEもロシア人の主張を認めていませんが、RYBARとDEEP STATEは「ステポヴェの北側地域をロシア軍が占領した(ウクライナ軍が失った)」という部分で見解が一致しており、アウディーイウカ方面のウクライナ軍にとってはポジティブな要素が見つかりません。
ウクライナ政府は税収以上の資金を軍事分野の支出に割り当てているため、政府機能の維持や経済分野などの「非軍事分野への支出」は米国、カナダ、EU諸国からの金融支援で賄われています。2024年度の米国の負担は1/4であり、IMFが行っているウクライナ向け融資の西側諸国からの援助も重要です。しかし、緊急予算の議会審議が1ヶ月近く放置されており、バイデン政権の財務長官、国防長官、国務長官、国際開発庁長官は11月8日に議会に対しウクライナ向けの経済支援として118億ドルを要請しましたが、下院は何のアクションも起こしておらず、民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務も緊急予算について「感謝祭から戻ったら成立に取り組む」と言及しています。
この状況に対するゼレンスキー大統領の反応は定かではありませんが、15日に「重要なのは西側諸国による社会保障への財政支援です。率直に言えば、支援が途切れると本当に難しいことになります。我々は税収の全てを軍事分野の支出に充てているため、社会保障への財政支援が途切れると軍事分野の支出を減らすか、社会保障への支出を行わないかを選ぶしかありません。いずれにせよ危機的状況に陥ることは確実であり、これは戦争の行方に大きく影響を及ぼすでしょう。」と述べました。
EUからの財政支援にも全加盟国の同意形成が難航しており、ウクライナは「手に入るかどうか分からない資金」に希望を託して2024年度予算を編成するしかありません。軍事的な問題と経済的な問題を同時に対処しなければ、戦い続けることができなくなるでしょう。
ゼレンスキー大統領はアウディーイウカでロシア軍を破壊すれば流れが変わると主張しています。一方、民主党上院トップはウクライナ支援は感謝祭の休暇から戻ったら取り組むと述べています。バイデン政権は議会にウクライナ向け経済支援として118億ドルを要請しました。
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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