独仏の主力戦車開発プログラム、Rheinmetallの裏切りとK2の登場で危機感

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独仏の主力戦車開発プログラムはKF51を発表したRheinmetallの裏切りと韓国製のK2が欧州に上陸したことで立場が怪しくなっており、開発に関わる独KMWは「MGCSだけでなくLeopard2の需要まで奪われかねない」と焦っている。

将来的に「装備だけ買え(米国も技術移転や現地生産を一部認めるようになっている)」という売り方は米国以外では成立しない可能性も

独仏が進めている主力戦車開発プログラム「Main Ground Combat System=MGCS」の開発体制はKMW(独)、Rheinmetall(独)、Nexter(仏)の3社で構成されているが、KMWでCEOを務めるラルフ・ケッツェル氏は「独自にKF51を開発したRheinmetallはMGCSのパートナーに残れない」と明かし、韓国のK2を選択したポーランドの決定も「欧州で標準化されたLeopard2の後継を開発=MGCSを脅かすもの」と示唆して「ノルウェー人が同じ轍を踏まないことを願う」と明かした。

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独仏はLeopard2(約300輌)とLeclerc(約200輌)を更新するため主力戦車開発プログラム「Main Ground Combat System(MGCS)」を進めている最中で、この新しい主力戦車が欧州の標準モデルとしてLeopard2・Leclerc採用する欧州諸国(14ヶ国+1ヶ国)に採用されることを狙っているのだが、このビジョンはRheinmetallの裏切りとポーランドの脱Leopard2によってゆらぎ始めており、KMWは独Merkurの取材に危機感を吐露しているのが興味深い。

ケッツェル氏はMGCSの開発体制について「KMWとNexterで行うのが理想的なのにRheinmetallが割り込んできた上、独自に130mm滑腔砲を搭載するKF51まで発表してしまった。次世代の主力戦車は独仏によって提供されるはずだったのに、この開発に関わるRheinmetallが独自の解決策=Leopard2の後継を打ち出している。経済的な側面(Leopard2の後継需要という意味)から見ればRheinmetallの行動を理解し易いが、開発体制の枠組みを壊す行動なのでRheinmetallはMGCSのパートナーには残れないだろう」と主張。

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さらに「Leopard2と比較して軽量で価格が安いKF51の優位性には信頼できる根拠がなく、我々は今後もLeopard2は多くの国の基盤戦力に留まり続けると想定している。結局、この問題で重要なのはLeopard2を導入している国との協力関係を捨ててまで、将来的な計画も飛躍した進歩もない新型戦車(KF51のこと)を優先する必要がない点だ」と述べ、RheinmetallはKMWと共同でPumaを開発したのに独自のLynxも開発して競合関係に陥り「何十年も戦車や自走砲などの開発で役割分担をしてきた両社の協調関係をRheinmetallは無視して動いている」と批判したが、MGCSのビジョンを脅かす存在は他にもある。

MGCSは独仏のみではなく欧州諸国の採用を前提にしているが「開発体制の複雑化を避ける」という名目で潜在的な顧客の開発参加を拒否しており、乱暴な言い方すれば「独仏がワークシェアや技術を独占して潜在的な顧客は購入するだけ」という状況を作り出そうしていたのだが、ケッツェル氏は「MGCSの潜在的な顧客だったポーランドがLeopard2の更新用として韓国製のK2を選択、ノルウェーもLeopard2の更新用としてLeopard2A7NOとK2NOを検討中で、ノルウェー人が同じ轍を踏まないことを願う」と述べている。

独仏の主力戦車開発プログラム、Rheinmetallの裏切りとK2の登場で危機感

出典:Norsk hær

ケッツェル氏は「もし欧州諸国が再び陸上装備の多様化に至れば、この需要を韓国、オーストラリア、米国が支配するようになって欧州の防衛産業は追い詰められることになり、F-35が欧州で優位性を獲得しているのと同じ状況に陥るだけ」と主張、とにかく欧州はバラバラに動くのではなく「統一したアプローチの下で動きLeopard2からMGCSに移行しなければならない」と協調しているが、この考えは多くの国から支持されている訳ではないので非常に微妙だ。

独仏は「米国製兵器を購入して資金を欧州外に流出させるのではなく、欧州諸国は欧州の防衛産業(主に仏独企業)が作った武器に投資すべきだ」という理念を掲げているものの、やっていることは独仏が米国にとって替わるだけで、他の欧州諸国からすれば自国の経済や防衛産業に対する旨味が少なく、ポーランド、ノルウェー、ルーマニア、チェコ、スロバキア、フィンランドといった国は技術移転や現地生産に寛容な韓国に接近しているため、MGCSだけでなくLeopard2の需要まで奪われかねないとKMWが焦っているのだろう。

独仏の主力戦車開発プログラム、Rheinmetallの裏切りとK2の登場で危機感

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej

公然と「エンドユーザーの運用制限を課すのは米国の権利だ」と述べる米国製装備が売れ続けるのは「米軍による安全保障の後ろ盾」という目に見えない特典が付帯しているためで、これが欠ける欧州製装備は技術移転や現地生産に寛容な韓国、トルコ、中国と言った新規プレーヤーの登場で中途半端な立場に立たされており、将来的に「装備だけ買え(米国も技術移転や現地生産を一部認めるようになっている)」という売り方は米国以外では成立しない可能性がある。

もしかすると軍事技術の優位性は「秘密にすることで確保する」という考え方から、絶対に共有できないものを除いて積極的に導入国と共有し「規模を拡大して技術開発を加速させることで確保する」という考え方に移行する過渡期に差し掛かっているのかもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:Rheinmetall

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