ウクライナ・プラウダ紙はアウディーイウカの戦いについて報じており、「セベロドネツク、リシチャンシク、バフムートでも同様の問題があった」と指摘しています。
アウディーイウカの戦いにおける問題
ウクライナでは、アウディーイウカの戦いに大いなる注目が集まっています。現地メディアも政府の声明に疑問を抱いており、「陣地を維持している」という主張についても疑念を抱いています。ウクライナ・プラウダ紙も、アウディーイウカで戦う兵士の証言を交えながら、「セベロドネツク、リシチャンシク、バフムートでの教訓が生かされていない」と報じています。
アウディーイウカはロシア軍の激しい攻撃にさらされ、ウクライナ軍も予備戦力を投入せざるを得ない状況です。大統領は「ロシア軍がアウディーイウカでバフムートよりも早いペースで兵士と装備を失い続けている。ここでロシア軍を破壊すれば流れが変わるだろう」と述べましたが、守る兵士の中には「状況は危機的だ」と語る者もいます。
アウディーイウカ包囲の継続的努力
アウディーイウカの状況は、2023年の晩冬から初春にかけて顕著に悪化しました。ロシア軍は2月にヴォーダインとオプトネ、3月にはベルゼとクラスノホリフカを占領し、アウディーイウカに繋がる唯一の舗装道路(O-0542)を遮断しようと試みました。これは明らかにアウディーイウカ包囲を狙った継続的な努力の一部であり、突発的な攻勢ではありませんでした。
ウクライナ軍の奮闘とロシア軍の戦術変更
ロシア軍は9月30日にアウディーイウカ北の防衛ラインを突破しようと試みましたが、第1大統領旅団によって阻止されました。しかし、数日後の10月10日にロシア軍は大規模な攻勢を開始しました。この攻勢は第53機械化旅団の大砲によって焼き払われましたが、現地の困難が明らかになるとウクライナ軍は増援をアウディーイウカに派遣し始めました。
ウクライナ軍は戦車や装甲車両を主体にした攻勢を阻止し続けていますが、ロシア軍は少人数編成の歩兵部隊に切り替えることで前進を成功させました。ウクライナ軍の報道官によれば、「ロシア軍は1ヶ月間の戦いで1万人以上の人的損失と400以上の装備を失った」とのことです。この損害は莫大なものであり、「ロシア軍がアウディーイウカに投入している兵力(推定4万人)」の1/4に相当します。しかし、ロシア軍はこれまでの損害にもかかわらず、わずか2km~5kmの範囲でしか成功していないのです。
防衛ラインの欠如が危機を招いた
アウディーイウカでの成功は、ロシア軍の兵力や装備の優位性だけでなく、ウクライナ軍が「第2防衛ラインを用意していなかったこと」に大きく関係しています。
派遣された第47機械化旅団の兵士は、アウディーイウカ周辺に準備が整った陣地が存在しないことを指摘しました。ウクライナ軍の指揮官は「陣地は事前に準備されている」と主張していますが、ジャーナリストのブトゥソフ氏によれば、アウディーイウカ近郊には準備が整った陣地が存在しないのです。
アウディーイウカ方面では第1防衛ラインが用意されていましたが、後退した線路の西側地域には第2防衛ラインが存在しませんでした。適切な陣地が用意されていなかったため、アウディーイウカが包囲されることを予見した指導者はいなかったのでしょう。ウクライナ軍は「街は十分要塞化されている」「この街を1年半に渡って防衛してきた第110機械化旅団は当該地域のことを熟知している」と主張していますが、アウディーイウカの側面を保護する第2防衛ラインや第3防衛ラインは用意されていませんでした。
以上がウクライナ・プラウダ紙の指摘であり、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏と同様に「アウディーイウカの危機的状況は防御陣地の欠如が招いた」と批判されています。ウクライナ・プラウダ紙は、アウディーイウカの戦いが続く中、「アウディーイウカへの兵站ルート確保」に軍が努力することを願っています。
アウディーイウカの戦いはウクライナ軍にとって大きな試練です。ウクライナ軍のアウディーイウカへの防衛に対する期待値は低下しており、厳しい冬が近づいています。