「クマ被害者が明かす「恐怖の瞬間」。頭蓋骨が開いてた。もう死ぬんだなと」という衝撃の取材

クマ被害者の湊屋啓二さんクマ被害者の湊屋啓二さん

クマの被害が全国各地でとまらない。クマと遭遇したら、どんなことが起こるのか。被害者に襲撃時のリアルな様子を聞いた。

クマ被害の実態

取材で向かったのは、クマ出没が頻繁に伝えられる、秋田県北秋田市。取材に訪れたのは11月17日金曜日の昼だったが、駅前の通りには、人が歩いていなかった。クマを警戒してか、町を歩く人はほとんど見られない。

地元に住む主婦地元に住む主婦

道の駅「たかのす・大太鼓の里」を訪れると、クマを見たことがあるという、地元に住む主婦に出会った。「1回見た、小学校のプールの脇で。警察に言われている『歩くな』って。怖い、今年は」と主婦は語る。また、地元の農家も「今年はさらに多い。普通にいつも見てるから、そう慌てるものじゃない」と明かす。また近くの養鶏場では、約30羽の比内鶏が襲われるという被害も。15年飼っているがクマに襲われたのは初めてだという。

クマ被害者の湊屋啓二さんクマ被害者の湊屋啓二さん

クマに襲われ、九死に一生を得た男性にも話を聞くことができた。大正10年(1921年)創業で、秋田銘菓「バター餅」で知られる老舗菓子店「鷹松堂」の3代目、湊屋啓二さん(66)だ。10月19日、この地域で5人が立て続けに、クマに襲われた。被害から1カ月がたつも、湊屋さんには痛々しい傷跡が残る。

「(頭の)真ん中が引っ込んでいる。たぶん噛まれて、皮持っていかれたんだと思う。あと『耳痛いな』と思って、(耳たぶが)ないでしょ。噛みちぎられた。もう死ぬんだなと……」(湊屋啓二さん)

被害の一部始終を明かしてもらった。10月19日午前6時過ぎから、「バター餅」を切る作業をしていた湊屋さんは、奥の庭から若い女性が叫び声をあげ、走って行くのを見かける。外に出ると白い車が止まっていて、運転手の男性から「クマです」と伝えられた。

クマが出没した裏庭クマが出没した裏庭

「『えー、クマ?』と、びっくり。今までずっとここに住んでいるが、クマなんてこんなところに来たことも見たこともない」(湊屋啓二さん)

6時40分ごろ、83歳と81歳の女性2人が頭などを襲われ、うち1人は右肩を骨折した。7時ごろには、近くのバス停で82歳の女性が頭や背中などをひっかかれ、16歳の女子高校生が左腕を噛まれた。
湊屋さんは10時30分ごろ、騒ぎを聞きつけたメディアの取材を受けていたが、11時20分ごろに自身もクマに襲われた。場所は自宅の敷地にあるはなれの建物だった。シャッターを開けると、「ここにいた。目があった」。体長約150cm、体重100kg(推定)のクマと、わずか1.5mの距離に近づいていた。
とっさに逃げようとしたが、クマは猛スピードで追いかけてきた。湊屋さんは「手で防いでいたんだけど、耳噛まれて。やられている時は、もう死ぬかと思った」と振り返る。

「一瞬攻撃が止まって、その瞬間、反射的に立ち上がって、全速力で自宅に逃げてきた。クマはそこ(入口)まで追ってきた。寸前のところで戸を閉めて、ドアを押さえていたら、ウロウロしてどこかへ行った。鏡を見たら、頭蓋骨が開いていた」

ソースリンク: 日本ニュース24時間