日本の半導体「30年ぶりの雪辱戦」…「サムスンと正面勝負しない」なぜ

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日本の半導体業界が「30年ぶりの雪辱戦」に挑んでいる。日本が独自の半導体生態系を構築し、韓国の半導体業界との直接対決を避けられなくなっているのだ。今回は、なぜ日本がサムスンとの正面勝負を回避しているのか、詳しく見ていこう。

「30年ぶり半導体復活」狙う日本

日本は、半導体の素材・部品・装備分野で世界的な企業を前面に押し出し、30年ぶりの半導体雪辱を果たそうとしている。キヤノンは最近、独自開発したナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を使って、ASMLの極端紫外線(EUV)露光装備を代替するための第一歩を踏み出した。この技術が商業化に成功すれば、半導体産業の覇権を揺るがすゲームチェンジャーになると業界では言われている。

さらに、先進チップ量産に成功した場合、ラピダスは日本の半導体生態系を構築する重要な役割を果たすことになる。既に、キオクシアとマイクロンに次ぐメモリー半導体のファウンドリー(半導体の委託生産)でも製造基地を持つことができるのだ。ラピダスは、日本の半導体復活の最後のピースとして期待されているのである。

「TSMC・サムスンとは違う道を行く」

しかし、業界ではラピダスがTSMCやサムスンと同じ戦略をとるのか疑問視する声もある。ラピダスの専務である榎本貴男氏は、先月開催された国際半導体製造技術学術大会(KISM2023)で中央日報とのインタビューを受け、「2028年から本格的に最先端チップ試作品を生産するパイロットラインを稼動する予定」と述べた。これは、公式に発表されていた計画よりもやや遅れた時期である。榎本氏は「ラピダスはTSMCやサムスンとは異なる道を選ぶ存在である。特定の顧客向けのオーダーメイド型チップ生産に集中する」と話している。

ラピダスの戦略は、TSMCやサムスンのような大量受注方式でシェアを拡大するのではなく、人工知能(AI)、データセンター、車載用半導体などの特定領域の需要に焦点を当てた多品種少量生産モデルでファウンドリーのニッチ市場に定着することである。トヨタやソニー、NTTなど、ラピダスに出資した企業の半導体需要を国内で生産し、吸収することで、先進チップの生産を開始する見通しが強まっている。

未来AI半導体で競争不可避

ただし、TSMCだけでなく、サムスン電子もAI半導体や車載用半導体など、将来のファウンドリー新市場の先取りに全力で取り組んでおり、ラピダスとの競争は避けられないだろうと予想されています。ある半導体業界関係者は「モバイルアプリケーションプロセッサ(AP)など、現在の主流市場では競争を避けるかもしれませんが、結局はAIに適合したオンデマンド半導体が求められる舞台で、すべての競争者が集まることになるでしょう」と語っています。

ラピダスは既に、IBMやベルギー総合半導体研究所IMECと協力して、先端チップ技術の本格的な研究に取り組んでいます。また、今年は米国に技術者を派遣する人員を2倍増やすなど、さらなる成果を目指しています。さらに、2ナノチップ試験生産ライン「IIM-1」の稼動のために北海道千歳に工場を建設する予定です。

ラピダスが首都圏から離れた場所に生産基地を設ける理由について、榎本氏は「産業用水と電力に加え、航空などの交通連携性を考慮した結果です。韓国と同様に若い半導体開発人材を確保するのが容易ではないためです」と話しています。

このように、日本の半導体業界は日本独自の半導体生態系を構築し、ラピダスを中心にして再び世界の舞台で勝利を収めようとしています。サムスンとの直接対決は避けつつ、独自の戦略で市場に定着していくことが目標です。日本の半導体業界の将来に、ますます期待が高まります。

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