保育園に落選すればもらえる、自治体も後押し…育休給付制度に親たちも違和感

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育児休業給付の受け取り延長を目的とした保育所の「落選狙い」を巡り、やむを得ずに実践している親たちの間では、制度上の違和感を指摘する声も根強い。自治体が高倍率の保育所を案内し、落選狙いを後押しする矛盾も噴出。年度途中での入所の難しさも背景にあり、現行の育休給付期間が適切なのかも議論の余地がありそうだ。

落選狙いの保育所申し込み

神戸市に住む30代の女性は、生後9カ月になる長女の保育所を申し込むため、落選狙いを実践しました。市のホームページで0歳児クラスに空きがなく、特に倍率が高いと知っていたので、1カ所だけを選びました。この保育所は、長男が通っている別の保育園とは別の場所でした。

窓口の担当者からは、「人気の園なので、入園したいなら複数出したほうがいい」とアドバイスされましたが、女性が断るとそれ以上は言われませんでした。女性は「育休延長を指南する情報はあふれていて、同僚にもわざと落選した人がいる」と話します。

女性は来年4月に職場に復帰予定であり、夫が単身赴任する自治体に引っ越すため、新居近くの保育所を真剣に探す予定です。落選狙いをする理由は、復帰までの間の育休給付を受けるためです。

女性は「2月入園は非現実的で、初めから入園しやすい4月に照準を合わせた方が、職場復帰などの予定を立てやすいです。何もしなければ給付されず、保育園に落選すればもらえる。制度の趣旨に違和感がある」と訴えます。

自治体の対応

一方、関東地方の自治体では、育休給付の延長を望む保護者から「入所保留通知書がほしい」という要望も寄せられることがあります。この自治体では、保護者の本音を可視化するため、入所申請の際に選考順位の引き下げを希望するかを記入してもらうようにしています。

別の自治体では、育休給付の延長を相談してきた保護者に、定員の空きがない保育所を案内し、保留通知書の入手をサポートしています。ただし、落選狙いの申請には調整作業が生じるため、「業務負担になっている」と担当者は言います。

神戸市の女性は「家庭によって、育休が1年で十分なのか、2年必要なのかが大事です。現在は延長の要件が保育園落選に限られていますが、理由次第で柔軟に延長を認めてもいいのではないか」と強調します。

Source: 日本ニュース24時間