3人の子どもを持つ裕福な家庭が無償化の支援を受けるべきか? 多子世帯の大学授業料無償化には何が足りないのか?

政府が提案した「子ども未来戦略」の中には、多子世帯の大学の授業料や入学金を無償化するという少子化対策が盛り込まれています。

政府は2028年までに3.6兆円を投入する予定で、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯に対して無償化の支援を行います。例えば、3人のうち2人が大学に在籍している場合、2人とも無償化の対象となります。ただし、3人の内1人でも扶養から外れて2人以下になると全員対象外となってしまいます。所得制限は設けられていません。

この政府案について、東京工業大学の西田亮介准教授は「従来の少子化対策や政策における公平性という観点からは疑問が残る」と評価しました。

彼はさらに、「多子世帯の中でも“3”という数字を強く印象付ける政策だ。人口が増加するということにフォーカスするのであれば『子どもが3人はいないと増えませんよ』と受け取ることはできる。ただし、『所得』という観点でいえば、子育て世帯の所得は全世帯の平均よりも高く、しかも多子世帯は、その中でも比較的裕福だと考えられている。そう考えると、3人以上いる多子世帯だけを支援することに違和感は残る。公平性の観点でも子どもが少ない世帯にも経済的な理由で進学が困難という人もいるだろう」と述べています。

この政策は本当に少子化対策に効果的なのでしょうか?

西田氏は「日本では『結婚を経て子どもが生まれる』ケースが多いため、第一の少子化対策としては、『結婚する人たちを増やすこと』が重要だ。そして次に、1人目、2人目を産んでもらいやすい制度・環境作りをする必要がある。少なくない子育て世帯において3人目どころか2人目にも至っていないからだ。今回の政策では結婚や1人目、2人目の出産には何のインセンティブもない。そういう意味では、従来の少子化対策の考え方ともズレた政策だ」と述べています。

最後に、西田氏は「この政策が長期的に実行されるかどうかも重要だ」と指摘しています。過去にも児童手当などの政策が変更されたことがあり、その信頼性に疑問を投げかけています。子育て支援は人気の政策ですが、この政策の継続性や信頼性が問われています。

政府は今後、どのように信頼性を確保するのか、注目されるでしょう。

Source: 日本ニュース24時間