【ソウル=桜井紀雄】韓国の最新の世論調査で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の不支持率が就任後初めて5割を超えた。日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄決定など、対日強硬姿勢は支持確保につながったものの、最側近をめぐる疑惑に対する国民の反感がそれを上回ったと分析されている。対北朝鮮外交も停滞する中、文政権が対日強硬策で世論をつなぎ止めようとする可能性が強い。
韓国の世論調査会社、リアルメーターの26日の発表によると、文氏の不支持率は前週より4・1ポイント上がって50・4%を記録。支持率は3・2ポイント減の46・2%に下落した。不支持率のこれまでの最高は3月第2週目の49・7%だった。
同社は、文氏の最側近で法相起用を決めた●(=恵の心を日に)国(チョ・グク)前大統領府民情首席秘書官をめぐる娘の大学不正入学疑惑などが影響したと分析。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の友人の娘の疑惑が朴氏の弾劾デモの拡大を呼ぶなど、不正入学は国民の怒りを買いやすい。
一方、GSOMIA破棄決定については「良い決定」だとする肯定的評価が54・9%、「誤った決定」だとする否定的評価は38%・4%だった。文氏の支持率に関しても破棄決定発表直後の23日に下落から小幅上昇に転じており、支持率維持に一定の効果があったとみられている。
破棄決定について、与党支持層では肯定的評価が89%を占めたのに対し、保守系最大野党支持層では、否定的評価が77・4%に上るなど、評価が二分した。