【主張】アフリカ開発会議 中国傾斜への警戒共有を


 アフリカ諸国の首脳を招き、横浜で開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD)を、アフリカの成長を助ける真のパートナーとしての日本の存在感を明確に示す場としたい。

 アフリカの人口は今世紀半ば、25億人にまで急増し世界の4分の1を占める。世界各国がその潜在力に注目して進出を競い、とりわけ、資金力を背景に覇権を目指す中国の攻勢はすさまじい。

 日本の「支援の質」には定評があるが、それにあぐらをかいてはいられない。「最後のフロンティア」に食い込むため、官民挙げての努力が求められよう。

 1993年に始まったTICADと同種の会議は、中国やインド、韓国、米欧なども実施しているが、いずれも2000年以降にできたものだ。

 先がけとなった日本のアプローチは当初、貧困救済のための開発援助が主眼で、各国の必要に応じたきめ細やかな支援や人材育成、技術移転などで貢献した。

 だが、アフリカ諸国のニーズは援助中心から投資や企業進出などビジネス促進に移りつつある。状況の変化を踏まえながら、日本はなお、質の高さにこだわり、活路を見いだすべきだろう。

 「中国・アフリカ協力フォーラム」は最初から資源獲得を含むビジネスを強く意識したものだ。巨大経済圏構想「一帯一路」に基づくインフラ投資で、アフリカで急速に影響力を拡大させた。

 大きな問題は、中国がインフラ建設に際して多額の資金を流し込む「借金漬け外交」である。中国の支援で鉄道や道路、港湾施設などの建設に乗り出し、過剰債務に陥る国々がアフリカでも次々と出て問題化している。

 TICADでは、これら中国主導の開発への警戒感をアフリカ諸国と共有したい。中国による「債務の罠(わな)」の実態を見れば、質の高いインフラ投資が何であるか、おのずと明らかになろう。

 日本が主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想は、アフリカも視野に入れている。航行の自由と法の支配に基づく平和の海で結ばれたパートナーであるとの意識を持つことが重要だ。

 アフリカ諸国の多くは、民族対立や貧困、格差、汚職、国際テロ対策などの難問を抱えている。これらの分野でも、日本らしい支援を模索すべきだ。



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