韓国政府が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたことを受け、自民党は28日、外交部会や国防部会などの合同会議を開いた。出席議員は、日米韓の連携や地域の安全保障環境を考慮しない韓国側の一方的な対応を厳しく批判。国際世論を味方につけるため、政府に情報発信を強化するよう求める意見が上がった。
「あきれた」「情報戦、負けているのでは」
「驚いたというよりあきれた。基本的価値観を共有できない北朝鮮や中国、ロシアを利することになる」
会議の冒頭、山本朋広国防部会長は韓国政府の破棄決定を強く批判した。さらに「西側諸国にとどまる意思があるなら再考を強く促したい」として、協定の期限が切れる11月までの翻意を迫った。
会議では、韓国側との対話を望む意見はなく、むしろ政府に海外での情報発信を強めるよう求める意見が多かった。日本が安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国(優遇対象国)」から除外したことを受け、韓国政府が世界貿易機関(WTO)への提訴に向けた準備を着々と進めているからだ。
政府側は会議で「韓国はGSOMIAの終了と輸出管理の見直しを関連付けているが、全く次元が異なる」と説明した。出席議員は、冷静に分析するだけでなく「日本はおかしくないと海外に説明する努力が必要だ」「情報戦で負けているのではないか」などと注文をつけた。
「元の席とは請求権協定だ」
一方、GSOMIA破棄の日本への影響について、政府側は「影響はない」との見方を示した。
安保調査会長を務める小野寺五典前防衛相は「北朝鮮はさまざまな(ミサイルの)弾種を撃っており、最終的な分析に日米韓の情報の共有が重要になる」と指摘。そのうえで「日米韓の連携が崩れかけていると間違ったメッセージとして伝わったことが心配だ」と懸念を示した。