中国経済テコ入れなるか? 中国人民銀行が1年ぶりに政策金利を引き下げ

中国経済の減速が鮮明化する中、中国人民銀行(PBOC)は22日、市場の予想に反し、事実上の政策金利である7日物リバースレポ金利の引き下げを発表しました。これは1年ぶりの利下げとなり、市場関係者に驚きを与えています。

PBOCは同時に、銀行間貸出金利の指標となるローンプライムレート(LPR)の1年物と5年物も引き下げました。これらの動きは、減速する経済を下支えするために、金融緩和に舵を切ったことを明確に示しています。

予想外のタイミングでの利下げ、その背景とは?

今回の利下げは、多くの市場関係者にとって予想外のものでした。というのも、先週閉幕したばかりの中国共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)では、大規模な景気刺激策は打ち出されず、市場の期待を裏切る結果となっていたからです。

3中全会では、不動産市場などへの過剰な投資を抑制し、より持続可能な成長モデルへの転換を図る方針が改めて強調されました。こうした状況を踏まえ、市場では、PBOCも当面は金融政策の変更を見送るとの見方が大勢を占めていたのです。

経済指標の悪化がPBOCの背中を押す

では、なぜPBOCは市場の予想に反して利下げに踏み切ったのでしょうか?その背景には、中国経済の減速が想定以上に深刻化しているとの危機感があるとみられます。

実際、4-6月期の中国のGDP成長率は前年同期比+0.8%と、1年以上ぶりの低水準に落ち込んでいます。また、消費者物価指数(CPI)は5四半期連続で前年同月比でマイナスとなるなど、デフレ懸念も強まっています。

このような状況下、PBOCとしては、景気の腰折れを防ぐために、金融緩和によって企業の資金調達コストを抑制し、投資や消費を喚起する必要に迫られたとみられます。

利下げの効果は限定的? さらなる金融緩和の可能性も

今回の利下げは、市場に一定の安心感を与えるとともに、中国経済の先行きに対する楽観的な見方を後押しする可能性があります。しかし、その効果は限定的との見方も少なくありません。

というのも、今回の利下げ幅は0.1%と小幅にとどまっており、企業の資金調達意欲を大幅に高めるには至らない可能性があるからです。また、中国経済の減速の要因は、国内需要の低迷に加え、米中対立など外部環境の悪化にもあるため、金融政策だけで景気を回復させることは難しいとの指摘もあります。

こうしたことから、市場では、PBOCが今後、追加利下げや預金準備率の引き下げなど、さらなる金融緩和策を打ち出す可能性も取り沙汰されています。今後のPBOCの動向に注目が集まります。