政府、国民負担軽減の思惑崩れ 大手3社は冷静な対応


楽天の携帯事業記者発表会で、独自開発のスマートフォンを発表する三木谷浩史会長兼社長=6日、東京都世田谷区(早坂洋祐撮影)  

 楽天の携帯電話事業への本格参入が遅れたことで、菅義偉官房長官が昨年8月に「4割値下げの余地がある」と発言したことを機に、急ピッチで進められた携帯電話市場の競争活性化も後ずれする。10月の消費税増税に合わせて、通信にかかる国民負担の軽減をアピールしたかった政府の思惑はもろくも崩れた。解約違約金や過度な端末補助などは規制されるが、肝心の通信料の低廉化は不十分なままだ。

 「すでに大手3社は楽天の参入を警戒している。価格が下がるという1次効果は出ている」

 楽天の三木谷浩史会長兼社長は精いっぱい強がってみせたものの、3社の反応は冷静だった。ある携帯電話大手の関係者は「楽天への対応は優先事項ではない」と明かす。

 総務省で規制強化の議論が進む中、大手各社は料金体系を簡素化し、動画配信と組み合わせた大容量プランなど、大手ならではのサービスを充実させる。楽天参入を意識し、NTTドコモは低価格帯の割引を強化。KDDI(au)とソフトバンクも価格競争力に自信をみせる。

 ただ、どのプランも一長一短があり、消費者には「値下げは不十分」との不満も根強い。また、各社が投入してきたスマホなどの端末は、高機能化が進んだ結果として、価格が高騰してきた。国内で通信料金値下げの恩恵を受けられない現状では、消費に水を差すことになりかねない。(高木克聡)



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