岸田文雄前首相は8日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)に生出演した。岸田氏が政権を担っていたころからコメ価格の上昇が始まっていたことから、備蓄米放出の判断に、当時、政権として踏み切らなかったことが「誤りだったのではないか」という指摘が出ていることをただされる場面があり、岸田氏は「経緯を検証することが大事」などと応じた。
番組キャスターを務めるフジテレビ解説委員の松山俊行氏は「岸田政権の時から(コメの)値段はかなり高くなっていたという実態があるが、当時は備蓄米放出には至らなかった」と、岸田政権のコメ政策に言及。「(当時の)坂本(哲志)農水大臣は、備蓄米放出をしない決断に誤りはなかったと、退任あいさつで言っていたが、9月になったら新米が入ってくるので値段がこなれてくるという見方を示されたが、それが誤りではないかという指摘は小泉(進次郎)農水大臣からも出ている」と指摘し、岸田氏の見解を問うた。
これに対し岸田氏は「コメの価格には、さまざまな要因が絡んでくる。備蓄米に対する対応も要素の1つ」とした上で「その時点での坂本大臣の判断は、新米の動向を踏まえた上での判断だったんだと思う」と述べ、岸田政権の坂本元農相が備蓄米放出に踏み切らなかった判断の背景に触れた。
一方で「ただ、その後も価格はどんどん変動し、そして、社会問題といってもいいような大きな議論になっている」と、現在のコメ価格高騰をめぐる混乱に至ったことを認めた。「その間の経緯を今1度、検証していくことが大事だと思う」と述べ、当時の判断を含めた検証が必要になるとの認識を示した。
進次郎氏が、需要があれば備蓄米を無制限に放出するとしていることについて問われると「政治家としてのメッセージとしては、そういう姿勢を示すことは、国民へのメッセージとしては、適切なのではないかと思う」と述べた。