札幌市小学3年生わいせつ事件:被害児童の母親が語る「再発防止策の不足」と「息子の苦しみ」

札幌市で2021年、当時小学3年生だったサトルくん(仮名)が、同じスポーツ少年団に所属する中学1年生の男子生徒からわいせつ行為を受けた事件は、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。札幌市教育委員会は10月8日、いじめ防止対策推進法の「いじめ重大事態」として調査結果を公表し、再発防止策を提言しました。しかし、被害児童の母親は、報告書の内容や学校側の対応に疑問を抱き、真の再発防止には程遠い状況だと訴えています。

信頼を裏切る行為:公園のトイレで

事件当時、サトルくんは加害生徒Aとスポーツ少年団を通じて親しくなり、頻繁に一緒に遊ぶようになっていました。しかし、Aはサトルくんの信頼を裏切り、自宅前の公園や公園内のトイレなどで、性器を見せたり触らせたりするなどのわいせつ行為を繰り返していました。

altalt

深刻な被害:5月28日の出来事

特に深刻だったのは、2021年5月28日に発生した事件です。Aはサトルくんを「キャッチボールをしよう」と公園に誘い出し、女子トイレに連れ込みました。トイレの中でサトルくんはズボンを脱がされそうになり、Aは「お尻の穴にチンチン入れさせて」と性的暴行を加えようとしました。

不十分な調査と対応:母親の訴え

サトルくんの母親は、教育委員会が公表した報告書の内容に納得していません。報告書では、加害生徒Aの動機や背景について深く掘り下げられておらず、再発防止に繋がる具体的な対策が示されていないと指摘しています。

また、学校側の対応にも問題があったと訴えています。事件当初は、サトルくんの担任だった元教頭が対応にあたっていましたが、異動に伴い後任の教師に引き継ぎがなされなかったことが報告書で明らかになりました。母親は、教育委員会や学校側が、子どもたちの安全を守るという意識が欠如していると批判しています。

苦しみ続けるサトルくん:「忘れることはできない」

事件から3年以上が経過した現在も、サトルくんは事件の記憶に苦しめられ続けています。母親によると、サトルくんは「忘れることはないよ」と語り、事件の影響から逃れられないでいるそうです。

altalt

再発防止への道:子どもたちの未来を守るために

今回の事件は、子どもたちの安全を守る体制が、教育現場において十分に機能していないという現実を浮き彫りにしました。真の再発防止のためには、加害生徒への適切な指導はもちろんのこと、被害児童への心のケア、そして学校と保護者、地域社会全体で子どもたちを見守る体制づくりが急務です。