能登地震でも課題となった相続登記の問題
誠実な印象で支持を集めてきた石破茂首相(67)に、ほころびが生じ始めている。果たして政治家として世間の期待に応えることができる人物なのか。改めて検証すべく、その原点をたどると、石破家を巡る“ルールを守らない”遺産相続の問題があって……。【前後編の前編】
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前編【「33年前に他界した人物が、石破邸の持ち主に」 石破首相の豪邸、相続したにもかかわらず登記されていない問題が】では、石破首相は地元・鳥取県鳥取市にある豪邸を母から相続しているはずにもかかわらず、未登記である問題について報じた。
社会部デスクの解説。
「首相になった石破さんは、さっそく能登の被災地を視察し、復興支援へ取り組む姿勢をアピールしましたが、まさに現場で課題となっているのが相続登記の問題なのです。東日本大震災でも相続登記がされていない土地が復興の妨げになりました。行政が新しい街づくりをしたくても、対象地域の土地所有者が何十年も前に亡くなったのに登記されたままになっていて、真の持ち主を確認するのに手間取り、土地の買収が遅れるなどしたのです」
また全国各地で深刻化している「空き家問題」でも、相続登記の必要性が叫ばれてきたという。
「行政が倒壊の恐れがある空き家を撤去しなくてはいけない場合でも、登記上の持ち主が実際と異なるケースが多くて連絡が取れず、再開発事業などで支障が起きています。地方創生を円滑に進めるためにも、相続登記を義務化した経緯があるのです」(同)
なぜ未登記を続けている?
実際、自民党は相続登記の義務化に向けての提言を率先して行ったが、その大本となる議員懇談会の顧問を務めていたのが石破氏だった。法制化を働きかけてきた国会議員の一員でもあったのである。
かような政治活動を行ってきた石破氏が、なぜ未登記を続けているのか。
元立正大学教授で税理士の浦野広明氏に聞くと、
「未登記であることには二つの理由が考えられます。まず石破さんは3人きょうだいですから、遺産分割でもめるなどして放置していたこと。二つ目は遺産分割について決まったのに登記するのを放置していた可能性。いずれにしても、法律を作る側の立場の石破さんが登記の変更をサボっていたというのは、許されることではないでしょう」