【深刻化する日本の子供の問題】睡眠不足やスマホ依存が脳と心に悪影響?専門家に聞く

日本の子供たちの「おかしい」状態とは?

現代の子供たちは、一見元気そうに見えても、実は心身ともに不安定な状態にあると言われています。

「子どものからだと心・連絡会議」の調査によると、最近の子供たちは、落ち着きがなく、自律神経のバランスが乱れがち。睡眠や食事、排泄のリズムが不安定で、常に「良い子」でいようと無理をしている傾向が見られます。

一体、何が起きているのでしょうか?長年、子どもの発達や健康について研究してきた、日本体育大学教授の野井真吾先生に話を伺いました。

現代っ子の特徴的な症状

野井先生によると、現代の子供に見られる「おかしさ」とは、病気や障がいとは断言できないものの、「元気」「健康」とも言い切れないグレーゾーンな状態を指します。

具体的には

  • 授業中にじっとしていられない
  • すぐ「疲れた」と言う
  • 姿勢が悪く、猫背や頬杖が多い
  • ネットやゲームへの依存傾向
  • 夜なかなか寝ない
  • アレルギー症状

などが挙げられます。

これらの症状は、保育所から高等学校まで、日本の教育現場全体で共通して見られる傾向があります。

「おかしさ」の背景にあるものとは

野井先生は、子供たちの「おかしさ」の背景には、以下の2つの要因が考えられると指摘します。

1. 脳の前頭葉機能の不活発化

前頭葉は、思考、判断、感情のコントロールなど、人間らしい高度な活動を司る重要な部位です。

しかし、「子どものからだと心・連絡会議」が実施した調査では、現代の子供たちは、前頭葉機能の発達が十分でない「不活発型」が増加傾向にあることが明らかになりました。

特に男子に顕著で、集中力や我慢する力が弱い傾向が見られます。

また、一見「おとなしい子」に見えても、感情表現が苦手な「抑制型」の子どもも増えている点が懸念されています。

2. 自律神経の乱れ

自律神経は、体温調節や消化活動など、体の機能を24時間体制で調整する役割を担っています。

しかし、現代の子供たちは、ストレスに過敏に反応し、緊張状態が続きやすい傾向にあります。

その結果、疲労が蓄積しやすく、心身に悪影響を及ぼす可能性も懸念されています。

深刻化する睡眠不足問題

日本の子どもたちの睡眠時間は、約100年前と比べて、小学生で約1時間、中学生ではなんと約2時間も減少しているという調査結果が出ています。

これは、アメリカの推奨睡眠時間と比較しても大幅に短く、「世界で最も睡眠時間が短い子供たち」と言える状況です。

スマホ依存と心の問題

スマホやタブレットの普及により、子供たちのスクリーンタイムは増加の一途をたどっています。

「子どものからだと心・連絡会議」の調査によると、ネット依存傾向のある子供は年々増加しており、中学生では男女ともに約半数が「依存傾向あり」と判定されました。

スマホを操作する子どもの手元スマホを操作する子どもの手元

さらに、スクリーンタイムが長い子供ほど、感情を抑制する傾向が強く、「悩みや不安を家族や友人に相談できない」と回答する割合が高いことも分かりました。

まとめ

現代の子供たちは、睡眠不足やスマホ依存など、様々な要因によって、心身にストレスを抱えている可能性があります。

保護者や教育者は、子供たちの変化に気を配り、心身の健康をサポートしていくことが重要です。