知的障害と平均的知能の境目にある、「境界知能」を持つ人々への理解とサポートが現代社会に必要不可欠だと語るのは、ホリエモンこと堀江貴文氏だ。「境界知能」を持つ彼らは、犯罪の温床「闇バイト」に巻き込まれる恐れも高い。記憶に新しい凶悪事件を挙げ、「判断能力の低い人でなければ、一生を棒に振るような強盗団の手先など務まらない」と指摘する。本稿は、堀江貴文『ニッポン社会のほんとの正体 投資とお金と未来』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。
● 「境界知能」の人が背負っている 見えざる大きなハンデ
「境界知能」という言葉をご存知だろうか。知能指数(IQ)70~84に位置し、平均的知能と知的障害(軽度知的障害はIQ50~69)の境目にある人を指す。そんな境界知能は全国に1700万人いると推計されている(注)。つまり7人に1人の割合だ。となればとうぜん、あなたの身近にもいる。
知的障害者に対する社会的理解は進んでいる。障害の程度に応じたさまざまな福祉サービス(生活支援や就労支援など)が自治体と民間団体の協力のもとで提供されている。
かたや境界知能に対する理解はまだまだ不十分だ。支援どころか、その認識すらままならない。知的障害でもなければ平均的知能でもない。彼らはどちらにも属さない不明瞭な状態にある。そして外見は普通だ。周囲からは普通の人としてあつかわれる。そのため境界知能の人は日常生活でさまざまな支障を被っている。
学校の授業についていけず孤立してしまう。仕事をうまくこなせず顰蹙を買ってしまう。そしていたるところで人間関係につまずく。なにをやってもうまくいかない。そんな自分にただただ絶望する。見えざる大きなハンデを背負っているのである。
(注)プレジデント ウーマン「『テストは平均20点』授業についていけない“境界知能”の中1が特別支援の対象にならない単純で深刻な理由」(2023年8月30日)