ベルギー・ブリュッセルで、欧州連合首脳会議後の記者会見に臨むフランスのエマニュエル・マクロン大統領(2024年10月17日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は18日、自身の発言内容をめぐる論争で記者や閣僚、コメンテーターを攻撃したことを受け、報道機関を単なる御用メディアに成り下がらせようとしているとしてメディア団体から反発を受けた。マクロン氏は、イスラエルは国連(UN)のパレスチナ分割決議によって建国されたことを「忘れてはならない」と述べ、物議を醸していた。
マクロン氏は17日夜、ベルギー・ブリュッセルで欧州連合(EU)首脳会議後の会見に怒気を帯びた様子で臨み、非公開閣議での発言を歪曲(わいきょく)した人々がいるとし、「プロ意識が欠如」していると非難した。
マクロン氏は閣議で、イスラエルは国連のおかげで建国できたのだから、レバノンとパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)での軍事作戦に関する国連決議を順守しなければならないと発言。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相の猛反発を招いただけでなく、フランス国内でも強い反応を引き起こした。
閣議は非公開だったが、出席者のうち2人が匿名を条件に、マクロン氏の発言をAFPに明かした。
それによると、マクロン氏は15日の閣議で、1947年11月の国連総会(UN General Assembly)で採択された、パレスチナをユダヤ人とアラブ人の2国に分けるパレスチナ分割決議に言及し、「ネタニヤフ氏は、自国が国連の決定に基づき建国されたことを忘れてはならない」と指摘。「今は国連の決定を無視している場合ではない」と述べた。
これに対しネタニヤフ氏は、マクロン氏が歴史を「ひどく歪曲、無視している」と非難。批判の声はフランス国内からも上がり、上院のジェラール・ラルシェ(Gerard Larcher)議長はこの発言に「がくぜん」としたと述べ、マクロン氏は歴史に「無知」だと批判した。
マクロン氏は17日の記者会見で、「いくつかのルールを思い出させてほしい」と主張。
「私がどれほど驚いたかを伝えなければならない。私の発言について、国内外の政治指導者のものも含め、たくさんのコメントや反応を読んだが、実際に私が何と言ったのかを知ろうともせずに寄せられたものばかりだ」と続けた。
その後の論争について、「閣僚」「記者」「コメンテーター」を攻撃。「報道されたような」発言はしておらず、文脈を無視して切り取られたものだと主張した上で、「中東情勢については、腹話術師を必要としないほど私は十分語っていると思う」と述べた。
さらに閣僚に対し、「誤情報を流布しないよう、規則と職務への尊重」を求める一方、記者には「報じられた発言について必要な措置を講じた上で扱うよう」呼び掛けた。
また、イスラエルの存在権に疑問を提起したのではないかとの国内からの批判の声については、フランスの立場に「あいまいさはない」と一蹴した。
だが、大統領を取材する記者で構成される大統領記者協会(APP)は、マクロン氏は「情報源を厳密に調査・確認している報道機関の倫理に深刻な疑問を投げ掛けた」と指摘。
「われわれの仕事は、公式発表の復唱に限られるべきではない。大統領にジャーナリズムを定義される筋合いはない」と主張した。【翻訳編集】 AFPBB News