1964年の新潟地震。記憶に残る方も多いでしょう。実はこの地震、日本史上最悪の石油コンビナート火災を引き起こした原因は、長周期地震動によるものだったのです。
長周期地震動とは?
地震の揺れには、周期が短いものと長いものがあります。長周期地震動は、文字通り周期の長いゆっくりとした揺れのこと。高層ビルや石油タンクのような大きな構造物を大きく揺らし、深刻な被害をもたらす可能性があります。
新潟地震の教訓:長周期地震動がもたらした未曾有の被害
新潟地震では、震源から離れた苫小牧市の石油コンビナートで火災が発生しました。これは、長周期地震動によって石油タンク内の液体が激しく揺さぶられ、スロッシングと呼ばれる現象が発生したことが原因です。スロッシングによって浮き屋根が損傷し、石油が漏洩、引火したことで大規模な火災へと繋がりました。
東京湾沿岸:巨大地震の脅威にさらされる石油コンビナート
東京湾沿岸には、石油コンビナートや化学工場、火力発電所など、多くの重要施設が密集しています。もし南海トラフ巨大地震が発生した場合、長周期地震動によってこれらの施設が甚大な被害を受ける可能性があります。
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浮き屋根:地震に弱い構造
石油タンクの多くは、液体の蒸発を防ぐために「浮き屋根」という構造を採用しています。しかし、この浮き屋根は地震に弱く、長周期地震動を受けるとスロッシングを起こしやすくなります。スロッシングは浮き屋根の損傷、沈没に繋がり、タンク内の石油の漏洩、火災のリスクを高めます。
南海トラフ巨大地震:東京湾を襲う未曾有の危機
専門家によると、南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京湾沿岸は最大3mの津波と、最大4mの揺れ幅の長周期地震動に襲われる可能性があります。軟弱地盤の影響で揺れが増幅されれば、石油コンビナートは壊滅的な被害を受け、大規模火災、二次災害、環境汚染など、甚大な被害が予想されます。
備えあれば憂いなし:私たちにできること
長周期地震動は、私たちの生活に大きな影響を与える可能性があります。日頃から家具の固定、避難経路の確認など、地震への備えを万全にしておくことが重要です。また、企業は重要施設の耐震化、BCP対策などを推進し、被害の軽減に努める必要があります。
この記事が、地震への意識を高め、未来への備えを考えるきっかけとなれば幸いです。