“幻の特急” とも呼ばれる「むろと」の魅力に迫る
日本の鉄道網には、時刻表とにらめっこしても乗車が難しい、まさに“レア”な特急列車が存在します。今回は、数ある列車の中でも特に乗車難易度が高いと言われるJR牟岐線の特急「むろと」の魅力に迫ります。
「むろと」の歴史と現状
牟岐線を走る特急「むろと」は、かつて多くの優等列車が行き交った歴史を持つ路線の面影を残す、貴重な存在です。1962年に準急列車として誕生した「むろと」は、その後、急行、特急へと進化を遂げました。最盛期には、徳島~甲浦間や徳島~牟岐間を複数本運行していましたが、利用客の減少に伴い、現在は徳島~牟岐間を1日1往復するのみとなっています。
「むろと1号」に乗車!車内は?乗車率は?
実際に「むろと」がどれほど利用されているのか、その実態を探るべく、平日の夕方に徳島駅から乗車してみました。
19時33分発の「むろと1号」は、2両編成のキハ185系ディーゼルカーで運行されています。1号車は一部が指定席、2号車は全て自由席という構成です。指定席の座席には、フットレストが設置されているのが特徴です。これは、元々は8000系電車で使用されていた座席を再利用したためで、「むろと」ならではのユニークなポイントと言えるでしょう。
車内を観察してみると、指定席には4人、自由席には3人の乗客の姿がありました。2両編成で120人という座席定員を考えると、乗車率はわずか16%と、非常に寂しい結果に…。
徳島駅から終点・牟岐駅までの乗客の動き
「むろと1号」は、徳島駅を出発した後、阿波富田駅、南小松島駅、阿南駅と停車していきます。各駅で数人の乗降がありましたが、乗車率が大きく変わることはありませんでした。
阿南駅を過ぎると、車窓は徐々に暗闇へと包まれ、車内は静寂に支配されていきます。まるで回送列車に乗車しているかのような、不思議な感覚を覚えました。
終点の牟岐駅に到着したのは、20時58分。最後まで乗車していたのは、筆者を含めてわずか2人でした。
「むろと」の未来は?
今回の乗車体験を通して、「むろと」が置かれている厳しい現状を目の当たりにしました。しかし、レトロな雰囲気漂う車両や、車窓に広がる nostalgic な風景は、他の特急列車では味わえない魅力に溢れています。
「むろと」が今後も走り続けられるよう、多くの人にその魅力を知ってもらい、利用者が増加することを願ってやみません。