秋風が心地よい季節となりましたが、日本の未来を担う子どもたちの数は年々減少しています。 2023年の合計特殊出生率は過去最低を記録し、少子化問題の深刻さが改めて浮き彫りになりました。
今回は、福岡県在住の保育士、ユキさん(37歳、仮名)の経験を通して、子育て世代が直面する経済的な不安と、2人目以降の出産に踏み切れない現実をご紹介します。
児童手当は将来のための貯金
ユキさんは、4年の不妊治療を経て、1歳1ヶ月になる長女を授かりました。長女のためにと、児童手当は全額貯金しています。将来、預金口座に移したり、NISAで運用したりすることも検討しているそうです。
「この子の将来のために少しでもためておかないと」
そう語るユキさんですが、可愛い我が子の顔を見るたびに、2人目が欲しいという気持ちが芽生えるといいます。
現実的な壁「2人目は無理」
しかし、ユキさんは「現実的に考えると、2人目はとても無理」と、複雑な胸の内を明かしてくれました。
ユキさん夫婦の世帯収入は約800万円。一見、生活に困っているようには思えません。
それでも2人目の出産を諦めなければならない理由は、一体どこにあるのでしょうか?
育休延長で貯蓄を切り崩す日々
ユキさんは現在、育休を延長しています。そのため、以前のようにフルタイムで働くことはできず、貯金を切り崩しながら生活しているそうです。
家賃や物価高騰による食費の増加に加え、この夏の猛暑で電気代も2万円近くまで跳ね上がったといいます。さらに、奨学金の返済も重なり、毎月3万5000円の出費は、家計にとって大きな負担となっています。
仕事と子育ての両立への不安も
ユキさんは、経済的な不安がなければ「2人でも3人でも産みたい」という気持ちを抱いています。
しかし、収入面を考えると、フルタイムでの職場復帰は避けられません。
「仕事と子育てを両立できるのか不安」
ユキさんの言葉は、多くの働く女性が抱える共通の悩みを代弁していると言えるでしょう。
少子化の影に、子育て世代の経済的不安
ユキさんのように、2人目以降の子どもを望みながらも、経済的な理由で諦めざるを得ない家庭は少なくありません。
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、夫婦が理想の子どもの数を持たない理由で最も多かったのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という経済的な理由でした。
少子化を食い止めるためには、子育て世代の経済的な不安を取り除き、安心して子どもを産み育てられる社会の実現が不可欠と言えるでしょう。
ユキさんが長女の将来のために自宅で貯金している児童手当=本人提供
まとめ
今回は、少子化問題の背景にある、子育て世代の経済的な不安について、ユキさんのケースを通して考えてみました。
jp24h.comでは、今後も様々な社会問題について取り上げていきます。
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