無期懲役囚の告白:徳島刑務所で過ごす日々、そして家族への想い

40年の歳月を経て:強盗殺人犯の現在

徳島刑務所。高い塀に囲まれたその施設には、多くの受刑者が罪を償う日々を送っている。その中には、犯した罪の重さから「無期懲役」の判決を受け、残りの人生を刑務所で過ごすことを余儀なくされた者たちもいる。

自身の起こした事件を語る山本正男受刑者(仮名)自身の起こした事件を語る山本正男受刑者(仮名)

山本正男受刑者(仮名)もその一人だ。70代になった彼は、40年近くもの間、この刑務所で過ごしてきた。20代の頃、遊びに明け暮れるあまり妻の出産費用に困り、勤務先の社長宅に強盗目的で侵入。居合わせた社長の母親を金槌で殴打し、殺害するという凶行に及んでしまったのだ。

山本受刑者は40年近くをこの刑務所で過ごしてきた山本受刑者は40年近くをこの刑務所で過ごしてきた

死刑判決から無期懲役へ:心の葛藤と希望の光

「今でも忘れられない、あの時のうめき声…」。事件当時を振り返り、山本受刑者は静かに語り始めた。一審では死刑判決を受けた。それは、彼にとって想像を絶する恐怖だったという。一時は、幻聴が聞こえるなど精神的に不安定な状態に陥ったこともあった。

しかし、二審で無期懲役の判決が下されると、彼の心には僅かながらも希望の光が差し込んだ。「死刑と無期懲役では、全く違う」。それは、僅かな希望を持つことすら許されない死刑囚と、いつかは社会復帰できるかもしれないという僅かな希望を抱ける無期懲役囚との、心の在り方の違いだったのかもしれない。

刑務所での生活:過去への後悔と家族への想い

徳島刑務所には多くの無期懲役囚が収容されている徳島刑務所には多くの無期懲役囚が収容されている

食事をとる受刑者たち食事をとる受刑者たち

長い刑務所生活の中で、山本受刑者を支え続けてきたのは、事件後に生まれた息子の存在だった。面会は叶わぬ願いだが、妻が送ってくれた息子の写真は、彼の心の支えとなっている。

徳島刑務所内の舎房=2024年8月、徳島市徳島刑務所内の舎房=2024年8月、徳島市

罪を犯したことで、家族との絆は断ち切られてしまった。それでも、山本受刑者の心には、息子への愛情と、罪を償い続けたいという強い思いが宿っている。