日本の教育現場に潜む「教員格差」:多忙を極める小学校教員の実態とは?

近年、先生たちの過酷な労働環境が問題視されていますが、小学校、中学校、高校の間には、実は大きな「格差」が存在します。今回は、教育研究家の妹尾昌俊氏の意見を交えながら、日本の教育現場における「教員格差」の実態に迫ります。

授業時間数に見る、小中高の格差

2022年の調査によると、小学校教員の約半数が、1週間あたり21~25コマの授業を担当し、37.2%はなんと26コマ以上も担当していることが明らかになりました。これは、1日5~6コマの授業をこなす過酷な労働を意味します。

小学校教員を悩ます「ノンストップ労働」の実態

小学校では、学級担任が給食や掃除の時間も指導にあたるため、休み時間も見守りや授業準備に追われ、息つく暇もない状況です。

日本の教育現場に潜む「教員格差」:多忙を極める小学校教員の実態とは?

多岐にわたる業務内容と高い専門性への要求

小学校教員は、国語、算数、理科、社会など、10教科前後を担当するだけでなく、特別支援教育や不登校児童への対応など、幅広い業務を担っています。高い専門性と質の高い授業が求められる一方で、時間的余裕のなさが深刻な課題となっています。

中学校・高校との比較:教科担任制が生む「ゆとり」

一方、中学校・高校では教科担任制が導入されているため、1回の授業準備を複数のクラスで活用できます。また、高校では授業時間数も小学校より少なく、給食指導もないため、小学校教員に比べて時間的余裕があると言えるでしょう。

小学校教員はもっと「怒って」いい?

妹尾氏は、「小学校教員は自分たちの労働環境や勤務条件について、もっと関心を高め、声を上げるべきだ」と主張します。海外では、これほどの労働環境であればストライキも検討されるレベルです。

教員組合への加入率低下が招く問題

日本の教員は、労働基本権が制限されていることもあり、これまで声を上げにくい状況に置かれてきました。さらに、教員組合への加入率の低下により、待遇改善に向けた動きが鈍化している現状も深刻です。

まとめ:日本の未来を担う子どもたちのために

小学校教員の過酷な労働環境は、子どもたちの教育の質にも影響を及ぼしかねません。日本の未来を担う子どもたちのために、そして先生たちが、熱意とゆとりを持って教育活動に専念できるよう、社会全体で「教員格差」の問題について考え、改善に向けて行動していく必要があるのではないでしょうか。