南国の楽園に突如現れた巨大な護衛艦
青い海と白い砂浜が広がる沖縄県石垣島。観光客で賑わうこの島に、8月31日、異様な光景が出現しました。海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」が、港外に姿を現したのです。全長248メートル、全幅38メートルという巨体は、遠くからでもはっきりと確認でき、その大きさに島民は驚きを隠せませんでした。
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なぜ「いずも」は石垣島に?
「いずも」は、8月27日から29日にかけて関東南方から沖縄東方の海空域で行われた多国籍海軍の共同訓練「ノーブル・レイブン24-3」に参加した後、補給と乗員の休養を目的に石垣島に寄港しました。
石垣港は、今年4月に平時から有事に備え自衛隊が利用できる「特定利用港湾」に指定されたばかりです。しかし、「いずも」は巨大すぎるため、市街地から離れた港外に停泊せざるを得なかったようです。
物議を醸す「いずも」の改修 – 攻撃型空母への懸念
「いずも」は、2015年にヘリコプター搭載護衛艦として就役しましたが、2020年度から最新鋭ステルス戦闘機F35Bの発着艦が可能となるよう大規模な改修工事が行われています。事実上の「攻撃型空母」への転換とみられており、国内外から注目を集めています。
政府は「いずも」を「多機能で多目的な護衛艦」と説明していますが、専門家の間では、その形状や搭載可能な装備から、攻撃型空母としての能力を有していることは明らかだとする意見が多数を占めています。
高まる軍拡競争への懸念 – 島民の不安の声
近年、中国の海洋進出が活発化しており、東シナ海や南シナ海における緊張が高まっています。日本政府は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、アメリカをはじめとする関係国との連携を強化しており、「いずも」の石垣島寄港も、こうした動きの一環とみられています。
しかし、中国を刺激するような軍拡競争の激化は、逆に地域情勢を不安定化させる可能性も孕んでいます。台湾からわずか270キロ、中国大陸からも1950キロしか離れていない石垣島では、住民の間で「もしものことがあれば、真っ先に攻撃されるのではないか」という不安の声も上がっています。
平和な島の未来のために
美しいサンゴ礁が広がる石垣島。観光客を魅了するこの島が、軍事的な緊張の高まりに巻き込まれようとしています。平和な島の未来を守るために、私たち一人ひとりが、問題意識を持って、今後の動向を見守っていく必要があるのではないでしょうか。