経団連の十倉雅和会長は22日の定例記者会見で、衆院選で主要政党が「最低賃金1500円」への引き上げ目標を公約に掲げていることについて「(目標は)チャレンジングでもいいが、到底達成不可能だというのは混乱を招くだけだ」とくぎを刺した。
2024(令和6)年度の最低賃金は全国平均で1055円。法律で定められる最低賃金は守らなければ罰則がある。十倉氏は、岸田文雄前政権が掲げた2030年代半ばに1500円を達成する場合でも年平均で4%程度の引き上げが必要になると説明。これを20年代に達成するには7%超、経済同友会の新浪剛史代表幹事が唱える3年での実現となると、15%程度の引き上げが必要になるという。この上で、「チャレンジすることも難しいようなことにこだわってはいけない。これから政労使でよく話し合っていきたい。あまり乱暴な議論はすべきではない」と述べた。
25年春闘で「5%以上」の賃上げを求める連合の方針に関しては「よく理解できる」と話した。十倉氏は「(賃上げは)23年を起点に24年に大きく加速しており、今回はそれを定着させることを合言葉に取り組みたい」と強調した。(佐藤克史)